
木下ひなた
『"まつり姫、お初にお目にかかります。私の悩みを聞いてください"』

木下ひなた
『"今年から社会人になり、地元を離れたのですが、これを機に自分を変えたいと思っています"』

木下ひなた
『"今までは子どもっぽく見られていたので、大人っぽい感じでいきたいのです"』

木下ひなた
『"でも、キャラを作るのはなんだかウソをついているみたいで……どうすればよいでしょう"』

木下ひなた
『……というメールだけども』

徳川まつり
『ほ?なんでそんなことを姫に聞くのでしょう』

木下ひなた
『そ、そりゃ、このコーナーがまつり姫さんのファンの悩みを聞くコーナーだからでないんかい?』

徳川まつり
『そうなのでした。でも、メールの内容は姫と関係ないのですよ?ね?』

徳川まつり
『それで、ひなたちゃんは何かやってみたいキャラづくりとかあるのです?』

木下ひなた
『キャラづくりってことは演技ってことだべ?したっけ、貴音お嬢さんみたいになりたいなぁ』

徳川まつり
『うちの事務所の四条貴音ちゃんですね……姫ではなく、です?』

木下ひなた
『もちろん、まつり姫さんもいいんだけども……。やっぱし貴音お嬢さんは憧れなんだわぁ』

徳川まつり
『憧れるのならいつも貴音ちゃんみたいにやってみればいいのです。いくのです~、さんはい!』

木下ひなた
『木下ひなたと申します。今夜はよろしくお願いします。トップシークレットです』

徳川まつり
『うーん、とっても面妖なのです!それじゃあ、ただの敬語なのです』

木下ひなた
『うう……やっぱし慣れないことはするもんじゃないねぇ』

徳川まつり
『そのとおりなのです。慣れることが重要なのです。きっと慣れれば簡単なのです』

徳川まつり
『同じようにメールをくれた方も悩むより先に、なりたい自分に向けて練習すべきなのです』

木下ひなた
『で、でも、これってウソっこついてることにならないかい?』

徳川まつり
『……ウソをついて、何が悪いのです?』

木下ひなた
『えっ?』

徳川まつり
『なりたい自分になるためです。ウソが悪いからやらないというのはただの言い訳なのです』

木下ひなた
『もしばれたらみんなにウソつきだって言われちゃうんじゃ』

徳川まつり
『……キャラづくりをするっていうのはウソつきだと言われる覚悟が必要なんだよ』

徳川まつり
『その覚悟があればキャラづくりで自分を変えられるのです。ウソは百回つけば本当になるのです』

木下ひなた
『はぁ~、そうなんかい。勉強になるねェ』

徳川まつり
『だから、"セクシーすぎるプロデューサー"さん、信念を持てば自分はきっと変えられるのです』

徳川まつり
『姫も応援しているから頑張って欲しいのです』

木下ひなた
『いやぁ、まつり姫さんの言葉はすごいねぇ。まるでキャラづくりしたことがあるみたいだよぉ』

徳川まつり
『……ひなたちゃんこそ、もしかして今のキャラは作っているのではないのです?』

徳川まつり
『本当は、純真キャラじゃないのではないのです?』

木下ひなた
『うーん、まつり姫さんがそう見えるんだったらそうかもしんないねぇ』

木下ひなた
『でもねぇ、それを決めるのはあたしじゃないんだわぁ』

木下ひなた
『あたしが普通にしているだけで、みんなが純真だとか純朴だとか言ってくれっからねぇ』

徳川まつり
『むぅ、イジワルをしたつもりが、ひなたちゃんの純真さを際立せてしまったのです』

徳川まつり
『というわけで、リスナーの皆さん、ひなたちゃんにイジワルできる質問を今すぐ送るのです!』

木下ひなた
『そ、そっだらこと、やめて欲しいべさ』

徳川まつり
『それは姫が決めることじゃないのです?ね?』

徳川まつり
『それじゃあ、ここで一曲お聞きください。ひなたちゃん、曲紹介をどうぞ~』

木下ひなた
『はい!木下ひなたで「“Your” HOME TOWN」。聞いてください』

馬場このみ
イントロのドラム音から程なくしてひなたちゃんの歌声が聞こえる。

馬場このみ
私は、正直困っていた。

馬場このみ
まつりちゃんの話に対するリアクション、そして、無茶振りへの対応

馬場このみ
ひなたちゃんらしい、まっすぐな受け答えで、まるで自分の問題としてとらえていない反応だった。

馬場このみ
あれも演技?いや、それにしては驚きも動揺もリアルが過ぎる。

馬場このみ
ブースに目をやるとまつりちゃんと目が合った。頭を下げるとまつりちゃんブースから出てきた。

徳川まつり
「……姫は違うと思ったのです。ひなたちゃんはウソをついていないと思うのですよ」

馬場このみ
ひなたちゃんに対する意見を聞くと、まつりちゃんはこう答えた。

馬場このみ
それじゃあ、ひなたちゃんの悩みは一体何なんだろう。

馬場このみ
ゴール目前で振り出しに戻された気分で、私はブースの中のひなたちゃんを眺めていた。
(台詞数: 50)