木下ひなた
やめてけれ!ばあちゃんをどこに連れてくんだべ!
松田亜利沙
ええい!うっとおしい餓鬼だね!離さねえか!
木下ひなた
離すもんか!ばあちゃんはあたしのたった一人の家族なんだ!
木下ひなた
おめえらみたいなヤクザに!絶対渡すもんか!
松田亜利沙
こいつ!痛い目見ないとわかんないのかい!!
徳川まつり
よしな
松田亜利沙
あ、姐御!
徳川まつり
なあ、お嬢ちゃん
木下ひなた
な、なんだべ!いくら脅されたって!怖くなんてねえべさ!
徳川まつり
お嬢ちゃん。婆さんは、お前さんのペットかい?
木下ひなた
え?
徳川まつり
身体が悪い婆さんを、いつまでこき使って金貢がせるつもりなのかって聞いてんだ
木下ひなた
・・・・・・
徳川まつり
知らないわけねえよな?
徳川まつり
婆さんはな、お前さん学校に行かせるために自分の病院代削ってまで働いてたんだ
徳川まつり
飼い主思いの、ペットそのものじゃねえか。泣かせるねぇ・・・
木下ひなた
あ、あたしはそんなつもりじゃ・・・
徳川まつり
そんなつもりもどんなつもりもあるかい。世の中はなぁ、金なんだよ金
徳川まつり
婆さん返して欲しけりゃウチの組で出す老人ホームの料金全部揃えてからにしな
徳川まつり
さもなきゃ婆さん。あんたの為に、おっ死ぬことになるよ・・・
木下ひなた
うう、父ちゃん。母ちゃん。なんで死んじまったんだべ・・・
徳川まつり
おやおや、今度は娘の成長を見れずに事故で逝っちまった親御さんへ恨み言かい?
徳川まつり
まったく、反吐が出るような小娘だよ
木下ひなた
・・・・・・
徳川まつり
・・・悔しいかい?
徳川まつり
あたしが許せないかい?
徳川まつり
・・・なら、でかくなりな
徳川まつり
学校で死ぬほど勉強して、うんと友達こさえて
徳川まつり
仲間と、金と、新しい家族作って、でけえオトナになって
徳川まつり
それでも許せなけりゃ
徳川まつり
あたいの首、取りにきな
徳川まつり
それまでおめえさんの生活費、学費、全部面倒見てやる。・・・貸しだよ
木下ひなた
・・・・・・
徳川まつり
異論ないようだね。おい、婆さんを連れてきな
松田亜利沙
合点です!姐御!
木下ひなた
(ばあちゃんが連れてかれて、一人ぼっちになったあの日、あたしは誓った)
木下ひなた
(あのヤクザ、姐御と呼ばれたあの女組長を決して許さない)
木下ひなた
(貸しにされた金は必ず倍にして返す)
木下ひなた
(そして)
木下ひなた
(あの人を越えるヤクザになってやるって・・・)
徳川まつり
『後に泣く子も笑うヤクザ木下ぐみの親分、木下ひなた』
松田亜利沙
『その幼き日の思い出・・・』
木下ひなた
～はじまりへ、つづく～
(台詞数: 43)