徳川まつり
よく来たね、ひなた。いや、今は木下組長か
木下ひなた
よしてください。自分なんてまだ若輩です
木下ひなた
あのとき徳川の親分に拾って頂かなければ、野垂れ死にしていた命です
徳川まつり
それが今じゃ組を持つまでになったか。私の目に狂いはなかったようだね
徳川まつり
で、今日はどうしたい?
木下ひなた
へぇ、先日お願いしたシノギの件で
徳川まつり
やっぱりその話か、無理だ。お前にゃ荷が勝ちすぎる
木下ひなた
それで引けねぇから、こうして直接参りやした
木下ひなた
自分も組を持ち、慕ってくれる若いのも増えやした
木下ひなた
そいつらを食わせるのに、どうしてもデカいシノギがいるんです
木下ひなた
徳川の親分に拾ってもらった自分が、拾う側になれたんです
木下ひなた
例え何をしても、あいつらだけは守らんといけんのですわ
徳川まつり
・・・おまえ、それがどういう意味か分かってるのかい?
木下ひなた
へぇ
徳川まつり
あたしのタマ、取ろうってのかい?
木下ひなた
・・・それが、極道のさだめとあらば
徳川まつり
・・・よくわかった。今日は帰んな
木下ひなた
へぇ。では、さらばです
木下ひなた
へぇ。では、さらばです・・・ 姉さん
徳川まつり
・・・・・・姉さん、か。久しぶりに聞いたな
徳川まつり
なぁ、先生
福田のり子
なんでしょう?
徳川まつり
あたしらの商売、ほとほと因果なもんだねぇ
福田のり子
・・・・・・
徳川まつり
よろしく、頼むよ
福田のり子
・・・かしこまりやした
徳川まつり
自分が手塩にかけて育てた花を自分の手で折らなきゃならん
徳川まつり
極道ってのは、因果なもんだよ・・・
木下ひなた
『血で血を洗う極道の、覇権を握るのは果たして飛び立つ若き雛か』
徳川まつり
『それとも温もりと厳しさを伝えた親鳥か』
福田のり子
~物語のはじまりへつづく~
(台詞数: 31)