永遠に可憐に……(後編)
BGM
ちいさな恋の足音
脚本家
イッパイアッテサ
投稿日時
2015-08-27 22:08:09

脚本家コメント
直前に投稿した作品の続きです。
まつりとの会話の一部に、前半を読まないと意味不明な点も有りますが……そこ以外は、一応今作だけでも話として完結させたつもりです。
……セリフ数制限のため、結部分が走ってしまうのは私の計画性の無さゆえ。
改めまして、可憐の誕生日に添えて。

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篠宮可憐
「……ごめんなさいプロデューサーさん。体調が優れなくて……病院に行ってきます。」
篠宮可憐
「……本当にごめんなさい。お昼うちのレッスンは、お休みさせていただきたくて。」
篠宮可憐
「…あの、我儘ですみません。夜のパーティには参加します。夕方からは、調子が良くなるので…」
篠宮可憐
……
篠宮可憐
……変な電話をすることになりました。プロデューサーさんに、心配をかけて申し訳ないです。
篠宮可憐
今日は私の誕生日。でも今朝の夢の中で、奇妙な事に巻き込まれてしまいました……
徳川まつり
『姫は魔界のぷりんせす、なのですー!いつも鬱屈した想いをご馳走様なのですー!』
徳川まつり
『そのお礼に、魔界の住民、ゔぁんぱいやちゃんの力を、誕生日の日にレンタルするのです。』
徳川まつり
『指先でも何処でも、ちゅってすれば……プロデューサーは、永遠に可憐ちゃんの物なのです。』
篠宮可憐
……信じられないし、誰かに試してみるわけにもいかないけど……私の体に異変は起きてます。
篠宮可憐
牙が伸びてきて……太陽が有るうちは身動きができなくなって……さっき、電話したわけです。
篠宮可憐
……
百瀬莉緒
「おはよう、可憐ちゃん!いきなりレッスンお休みしたから心配したけど、大丈夫みたいね。」
篠宮可憐
「莉緒さん、ご心配おかけしてすみません。……なんとかパーティには来れました。」
百瀬莉緒
「可憐ちゃん抜きで誕生日パーティはできないからね……本当に良かったわ。」
百瀬莉緒
「と・こ・ろ・で!流行りの『マスク美女』ってやつ?可憐ちゃん、いつも以上に可愛いわよ!」
篠宮可憐
「ごご、ごめんなさい!病み上がりですから、一応マスクをしていた方がいいかなって……」
篠宮可憐
……口を閉じていれば、多分『牙』はバレないでしょうけど……不安だから、保険で着けてます。
徳川まつり
「おめでとうなのです、可憐ちゃん。今日はわんだほー!なパーティにするのです!」
篠宮可憐
「……ご、ごめんなさいまつりさん!私、まつりさんは本当は優しい人だって分かってますから!」
徳川まつり
「……会話が噛み合わないのです?……まつり、ごめんなさいより、ありがとうが聞きたいです。」
篠宮可憐
「……そ、そうですよね。まつりさん、お祝いしてくれてありがとうございます。」
篠宮可憐
……魔界の姫という人を、まつりさんの姿で夢に出しちゃったので……私が感じる空気が重いです。
篠宮可憐
……あ、プロデューサーさんが、こっちに。
篠宮可憐
『可憐、心配したぞ。体の調子は大丈夫か?何ならずっと座っててもいいぞ。』
篠宮可憐
……あんな変な電話をしたのに、プロデューサーさんはいつも通り優しいです。
篠宮可憐
「それじゃあ。……あ、できればでいいのですけど、席まで手を引いてもらえますか?」
篠宮可憐
……気づかないうちに、大胆なこと言っちゃいました。プロデューサーさんと手を繋ぎたいなんて!
篠宮可憐
……差し伸べられた、大きくて暖かい手。……指先だけ伸ばして掴むのが、精一杯の勇気でした。
篠宮可憐
……このまま、手を持ち上げるか、顔を近づけてチュッとすれば……プロデューサーさんは永遠に。
篠宮可憐
……む、む、無理です!皆が居るところで、そんなことするなんて!
篠宮可憐
……
篠宮可憐
……その後も,何回か『チャンス』は有りました。その……チュッとするチャンス、です。
篠宮可憐
グラスを持ってきてくれた、手、とか。後ろを向いて会場を眺めてたときの、首筋、とか。
篠宮可憐
出し物の最中、皆の目が逸れてるときもあったのに……私からはプロデューサーに、近づけない。
篠宮可憐
一歩踏み出して、唇で触れればいいだけ、なのに……魔力じゃなくて、勇気が欲しいのに。
篠宮可憐
……
篠宮可憐
……パーティが終わって、解散して、今日が終わってしまう。私が勇気を出せる、最後の機会。
篠宮可憐
それは、プロデューサーに潰されちゃいました。私が言おうとしたことを、先に言われて。
篠宮可憐
『可憐、今日は疲れただろうから車で送るぞ。駐車場までは背負ってやるから……』
篠宮可憐
……背負われちゃえば、踏み出す勇気なんて要りません。『偶然の接触』を装って、
篠宮可憐
首筋に唇を当てるだけ。それだけでいい。……その勇気さえ、私は自分で出せなかったんですけど。
篠宮可憐
……プルルッ、と、プロデューサーの携帯が私の計略を崩してしまいました。なんでこんな時に……
篠宮可憐
……お仕事のお話です。私達のために、こんな時間でも受けて。電話なのに全力で会釈して。
篠宮可憐
その間も、背中の私のことは優しく支えてくれて……プロデューサーさんは、凄いです。
篠宮可憐
……きっとプロデューサーさんは、『皆にとって』必要な人、なんです。
篠宮可憐
私だけでなく、皆を支えていて。皆が頑張る理由になって。……皆に求められてる人。
篠宮可憐
魔力で堕として、皆から奪ってはいけない、かなって。……勇気が出せない私の言い訳かもだけど。
篠宮可憐
……今はまだ、私と二人にならなくてもいいです。皆の大切なプロデューサーで、いてください。
篠宮可憐
……みんな、自分で頑張れるくらい強くなる未来が来たら……その時は、私も『勇気』を出します。

(台詞数: 50)