徳川まつり
『……可憐ちゃんは、流石に引っ込み思案過ぎるのです!』
篠宮可憐
え?あ、あの……と、とりあえずごめんなさい、まつりさん。
徳川まつり
『謝らなくてもいいのです。別に姫、怒っているのではないのです。』
徳川まつり
『……それと、姫はまつりという人間ではないのです。姫は魔界のぷりんせすなのですよ。』
篠宮可憐
でも……その声も話し方も、髪の色も、まつりさん、ですよね?
徳川まつり
『可憐ちゃんは今、眠りの世界なのです。姫は直接、心に働きかけているのです。』
徳川まつり
『つまり、姫の姿や声は、可憐ちゃんの持っている記憶の中から連想して、構築してるのです。』
篠宮可憐
(ううっ、私、まつりさんのこと怖い人だと思ってるのかな……今度、謝らないと。)
徳川まつり
『これから先入観を無くしていくのです。……心の世界だから、沈黙では思いを隠せないのです。』
徳川まつり
『ところで、姫が働きかけているのは……思いを隠し続ける可憐ちゃんに興味が湧いたからです。』
徳川まつり
『鬱屈した感情は魔界の住人にとって、すいーつなのです!いつもご馳走様なのですー!』
篠宮可憐
え、ええ?な、何のことですか?私別に、心に秘めた憧れなんて持ってないですよ!
徳川まつり
『もう殆ど、自分で言ってしまったのです?あの、プロデューサーという人への 想いの事です。』
徳川まつり
『手を繋いてみたいとか、背中に抱きついてみたいとか、独り占めしたいとか考えてて……
徳川まつり
……他の子がじゃれついてたりすると、嫉妬したり、踏み込めない自分自身に失望してるのです。』
篠宮可憐
……言わないでください。夢の中なのに、ガックリ疲れちゃいそうです。
徳川まつり
『可憐ちゃんを嗤いに来たのではないのです。姫から誕生日プレゼントを授けに来たのです。』
徳川まつり
『明日は誕生日。その日一日、魔界の住民、ゔぁんぱいやちゃんの力をレンタルするのです!』
徳川まつり
『ゔぁんぱいやの接吻は、相手を虜にし……永遠に独り占めできることができるのですよ?』
徳川まつり
『盲目なしもべとして侍らせる事も、対等なパートナーとするのも自由……なのです。』
徳川まつり
『それでは、そろそろ忌々しい朝なのです!可憐ちゃん、ふぁいと、なのですー!』
篠宮可憐
あ、ま、待ってください!私、プロデューサーさんにキスなんて出来ません……
徳川まつり
『……首筋でも指先でも、ちゅっ!とするだけでおーけーなのです〜』……
篠宮可憐
……
篠宮可憐
……変な夢を見てしまいました。まつりさんを魔物扱いしちゃうなんて……ごめんなさい。
篠宮可憐
……カーテンの隙間から、朝日が差し込んでます。そろそろ、起きないと。
篠宮可憐
……なんだか変です。昨日の晩も、いつもみたいにアロマを焚いてリラックスしてから寝たのに……
篠宮可憐
目覚めが最悪です。なんというか、起きたくない気持ち……
篠宮可憐
……太陽の光が煩わしくて、浴びたくない。日が落ちるまで潜んでいたい……
篠宮可憐
今日は私の誕生日で、お母さん達も、劇場のみんなもお祝いしてくれるのに……
篠宮可憐
……こんな大切な日に気持ちが落ち込んでるなんて……私、ダメな娘ですよね。
篠宮可憐
……
篠宮可憐
……違う。誕生日だからワクワクしてるし、皆にもプロデューサーさんにも会いたいと思ってる。
篠宮可憐
……嫌なのはお日様の光だけ。お昼うちは動きたくないだけ。
篠宮可憐
……起き抜けの頭が、だんだん整理されていきます。そして、私は『違和感』に気づいたんです。
篠宮可憐
……唇を内側から押しのけようとする……私の、『牙』の存在に。
(台詞数: 36)