徳川まつり
「――思ったよりもいっぱい人が集まっているのです」
ジュリア
「おいおい……今さら怖気づいてるんじゃねぇだろうなぁ?」
望月杏奈
「……………ビビッてる?」
徳川まつり
「ほ♪誰に言っているのです?」
ジュリア
「そんなこと言いながら手、震えてんじゃねぇか」
徳川まつり
「ほ?これは武者震いなのです♪」
徳川まつり
「ううん……まつりは姫なので姫震いなのです♪」
ジュリア
「いや、まったく意味分かんねぇよ」
望月杏奈
「ビビッて……ない?」
徳川まつり
「ビビるのは大木だけなのです♪」
望月杏奈
「……ビビッと大木?」
ジュリア
「おい、漫才はその辺で終わりにしとけ――出番だ」
徳川まつり
――三人同時にステージへと飛び出す
徳川まつり
擘くような歓声が耳を、身体を――全身を刺激する
徳川まつり
負けじと私も声をあげた
徳川まつり
「イェーーーイなのです♪」
徳川まつり
今日はお祭り……私の日だ
望月杏奈
「ビビッといくよーー!!」
ジュリア
「ヒュ~~♪」
徳川まつり
スイッチの入った私たちを見て、彼女のギターもエンジンがかかる
徳川まつり
複雑なメロディを激しくかき鳴らす
ジュリア
「ノッてきたぜ~♪」
徳川まつり
歓声にかき消されて聞こえないが、彼女のギターがそう言っている
徳川まつり
――いつの間にか、目の前が人で埋め尽くされていることに気づく
徳川まつり
ステージ前はすでに溢れ、教室の窓からもたくさんの顔が覗いている
徳川まつり
「もっとみんなの声を聞かせてほしいのですーーっ!!」
徳川まつり
私たちの歌がみんなに届いていると実感する
徳川まつり
今日は文化祭――私の日だ!!
徳川まつり
「はいほーーーっ!!」
ジュリア
まぁ、マツはもう卒業してるんだけどな
望月杏奈
警備員の人たち……凄い睨んでる
ジュリア
そりゃあ文化祭のステージジャックしてるんだから当然だろ
徳川まつり
「……」
徳川まつり
「はいほーーっ!!」
望月杏奈
……あ、逃げた
ジュリア
自分から衆目集めといて逃げられるわけないだろ……
ジュリア
って、言ってるそばから捕まってるし。マジかよ
望月杏奈
……どうする?
ジュリア
どうするって言われてもな
望月杏奈
すっごいこっち見てる……
徳川まつり
「ほ~~っ!!」
ジュリア
あーっ、しょうがねぇ!迎えに行くぞ!
望月杏奈
……そうこなくっちゃ♪
ジュリア
今日はお祭りだからあいつがいなくっちゃ始まらないんだよ!
望月杏奈
……デレた?
ジュリア
デレてねぇ!!
徳川まつり
「あ~れ~なのです♪」
望月杏奈
意外と余裕ある……
ジュリア
なんでだよ……
徳川まつり
「おまつり開演♪」
(台詞数: 50)