交換留学生エミリーFS #7
BGM
微笑んだから、気づいたんだ。
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2017-07-18 02:26:46

脚本家コメント
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1年振りくらいの最新話更新。
時系列としては、例の海水浴場に行った日の夜の話。
海水浴場のエピソードは残念ですが割愛です。
すごいざっくりなあらすじ?
超過保護な親に窮屈に育てられた箱入り娘、箱崎星梨花のもとへ、交換留学生エミリーがやってくる。エミリーは幼い頃拾ったボトルメールの主を捜していたが、それが幼き頃の星梨花のモノだと知る。だが事故のせいで星梨花には記憶がなく、また、その事故がもとで父親は過保護に…

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エミリー
ヒュルヒュルヒュルヒュルー…パーーーーーン。
箱崎星梨花
釣り場から出た足をバタバタと揺らせながら、わたしたちは打ち上げ花火を見つめています。
箱崎星梨花
空に一輪の花が咲いて、散っていく瞬間の迫力ときたら、圧倒的ですね…
箱崎星梨花
打ち上げ花火は暗くなった空を、海を、陸を、そして、わたしたちを鮮やかに染めあげます。
箱崎星梨花
「ねえ、エミリー」
エミリー
「はい、なんでしょうか?」
箱崎星梨花
水平線の先を見つめ、心を奪われていたエミリーを現実へと引き戻してあげます。
箱崎星梨花
何を考えているのかは、知りたいけど、わたしにはわかりません。
箱崎星梨花
「今日、とっても楽しかったですね」
エミリー
「はい、とても…」
箱崎星梨花
「あの…どうかしました?」
エミリー
「あ、いえ、なんでも」
エミリー
「ただ、あっという間なんだなって…」
箱崎星梨花
「あっという間…打ち上げ花火がですか?」
エミリー
「そうですね。でも、だから美しくて、綺麗で、その人の記憶に刻まれるんでしょうね」
箱崎星梨花
「ふふふ、なんだかエミリーっぽいです」
エミリー
「何を言っているんですか、私はエミリー本人です」
箱崎星梨花
「知っていますよ」
エミリー
「ねえ、星梨花」
箱崎星梨花
「はい?」
箱崎星梨花
エミリーはすっと立ち上がると、宙に咲き乱れる花火に目もくれずに、私の目を見据えます。
エミリー
「きっと、私がこれから過ごすはずの長い人生からすれば…」
エミリー
「この夜空にあがった花火みたいに、刹那の出来事なのかもしれないですけど…」
エミリー
「星梨花と、みんなと過ごした日々は私の宝物になりましたよ」
エミリー
「ずっと、ずっと大切にします」
エミリー
「その…色々、ありがとうございました」
箱崎星梨花
「エミリー…」
箱崎星梨花
「そんなこと言わないでください」
箱崎星梨花
「まるで、今日が最後の日みたいなこと…」
箱崎星梨花
「まだまだ、これから、一緒にしたいこと、すること、いっぱいあるんですよ?」
エミリー
「はい、わかってます」
箱崎星梨花
「それに、エミリーの会いたい人も捜さないと」
エミリー
「それは、もういいんです」
箱崎星梨花
「え?どういうことですか?」
エミリー
「言葉通りです、もう、捜さなくても大丈夫です」
箱崎星梨花
「会えたんですか?」
エミリー
「はい」
箱崎星梨花
「いつの間に…」
エミリー
「黙っていてすみません」
エミリー
「でも、一緒に捜してくれるっていう気持ちだけで、私は嬉しかったです」
箱崎星梨花
「そっか」
箱崎星梨花
「会えてよかったですね」
エミリー
「はい、とってもよかったです」
エミリー
「星梨花…」
箱崎星梨花
「はい?」
エミリー
「星梨花、ありがとう」
箱崎星梨花
打ち上げ花火が夜空に舞うと同時に、エミリーの顔が見えました。
箱崎星梨花
その表情は、笑顔だったけれど、とても切なそうで…
箱崎星梨花
まるで、花火が散った後の静けさのような…そんな雰囲気が漂っていました。
箱崎星梨花
その『ありがとう』は、『さようなら』だったのかもしれません。

(台詞数: 50)