暴れん坊な将棋姫【後編】
BGM
秘密のメモリーズ
脚本家
concentration
投稿日時
2017-05-15 02:46:35

脚本家コメント
ドラマシアターPによる二人三脚企画の後編です。大変遅くなり、申し訳ありません。
血湧き肉踊る、みんな大好きバルスPの前編はこちら!
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/1000000000000000109/seq/545

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箱崎星梨花
張り詰めた空気の中、二人の駒音だけが響く。
黒井社長
先手:黒井崇男「フン、泣いて謝るなら今のうちだぞ」
宮尾美也
後手:宮尾美也「なんのなんの~、こんな楽しい勝負を放り出すなんて、あり得ませんぞ~?」
宮尾美也
「おお~、振り飛車矢倉ですか~、なかなか渋いですな~。ならばこちらは……」
黒井社長
「何?棒銀だと!?」
宮尾美也
「相矢倉とも思いましたが、面白そうなのはやはり、こちらかと~」
黒井社長
「バカが!そんな研究され尽くした手が、この私に通じるとでも思っているのか?」
宮尾美也
「確かに、棒銀の対処法は何百通りと有りますが~」
宮尾美也
「その全ての手順、黒井さんはちゃ~んと全部、覚えてますか~?」
箱崎星梨花
穏やかな口調はしかし、『自分は全てを諳じているぞ』と謂わんばかりに、凄味を帯びていた。
黒井社長
「フン、嘗めるなよ?小娘が………」
箱崎星梨花
黒井もまた、『俺の方が上だ』と、闘争心を露にする。
箱崎星梨花
…………局面が進むにつれ、徐々に二人の表情が変化する。
黒井社長
「………フン、最初の威勢の良さはどうした?」
宮尾美也
「む~ん、困りましたね~」
黒井社長
「さっさと負けを認めたらどうだ?ホレ、参りましたと言ってみろ!」
宮尾美也
「それがですね~、参りましたの前に言わなきゃいけない事があるんですが~」
黒井社長
「ん?何だ?」
宮尾美也
「ここ、矢倉の壁………歩がみっつ、縦に並んでるんですが~」
黒井社長
「あ、あれ?」
箱崎星梨花
「二歩どころか三歩!?」
宮尾美也
「あと、三手前、香車を横に動かしませんでしたか~?」
箱崎星梨花
「え?それってダメなんですか?」
宮尾美也
「ダメですね~」
黒井社長
「え、そうなの?」
箱崎星梨花
「……………」
宮尾美也
「………………」
黒井社長
「………ち、ちげーし!知ってたし!そんなのセレブの間でも常識だし!!」
箱崎星梨花
「と、いう事は………」
黒井社長
「フ、フン!今回ばかりは見逃してやるから!特別だから!失敬する!!」
宮尾美也
「さよなら~、約束は守って下さいね~♪」
宮尾美也
「良かったですね~、これで貴方は自由の身、お父さんの借金も帳消しですよ~」
箱崎星梨花
「あ、有り難うございます!えっと、あの、ところで、その………」
宮尾美也
「それでは私はこれにてドロンしますよ~。さらだば~♪」
箱崎星梨花
「ま、待ってください!!………あっっ!?」
箱崎星梨花
引き留める事の叶わぬ私を残して、
箱崎星梨花
微笑みを浮かべたまま、彼女は去ってしまった。
黒井社長
「積もる話もあったのではないのか?」
宮尾美也
「おや~、待っててくれたのですか~?」
黒井社長
「フン、言伝てを忘れていただけだ。返済額の振込み、確認したぞ。毎度あり、と言っておこうか」
宮尾美也
「こちらこそ~、借り入れ先の一本化と返済の一時肩代わり、有り難うございました~」
黒井社長
「良いのか?せっかく再会の場を設えてやったのに、ろくに話もしていないではないか」
宮尾美也
「………本来なら、会う事すら叶わなかった身です。これで充分ですよ~」
黒井社長
「あの小娘の方が、それだけでは納得しないだろうがな。気付いて追いかけて来るぞ」
宮尾美也
「残念ですが、それは有りませんよ~」
黒井社長
「?」
宮尾美也
「あの子………」
宮尾美也
「正座がとっても苦手なんですよ~♪」
箱崎星梨花
「た、立てません…………」

(台詞数: 49)