周防桃子
迷子の迷子の少女さん。
周防桃子
あなたのお家はどこですか?
周防桃子
お家を聞いてもわからない。
周防桃子
桃子に帰る場所なんてない。
周防桃子
それを聞いてくれる人すらもいまはいない。
周防桃子
「桃子が悪い子だから…」
箱崎星梨花
「そんなことないです」
周防桃子
「え、誰?」
周防桃子
誰もいないはずの部屋に響く声、桃子はその声に聞き覚えがあった。
周防桃子
「星梨花…」
箱崎星梨花
「はい!わたしです!!」
周防桃子
「どうして…どうしてきてくれたの?」
箱崎星梨花
「どうしてって…わかっているのにそれを聞くんですか?」
周防桃子
「それじゃ質問の答えになってないよ…」
箱崎星梨花
「桃子ちゃん」
周防桃子
「あのね…」
周防桃子
「桃子…迷子なんだ」
箱崎星梨花
「知ってますよ」
箱崎星梨花
「だから迎えにきたんです」
箱崎星梨花
「迷子の迷子の桃子ちゃん」
箱崎星梨花
「あなたのおうちはどこですか?」
周防桃子
「えっとね…それは…それはね」
周防桃子
「ごめん、ないんだ」
箱崎星梨花
「そうなんですか?」
周防桃子
「うん、だって、星梨花の家は桃子の家じゃないよ」
周防桃子
「だから、お家なんてない」
周防桃子
「桃子のお家からは家出したから…」
箱崎星梨花
「どうしてですか?」
周防桃子
「それは…」
周防桃子
「それは桃子が悪い子だから」
箱崎星梨花
「違います。さっきもいったけどそんなことないです」
箱崎星梨花
「桃子ちゃんはちっとも悪くないです」
箱崎星梨花
「でも、桃子ちゃんはちょっぴし大人になりすぎたんです」
箱崎星梨花
「子供なら、子供らしく…」
箱崎星梨花
「迷子なら、迷子らしく…」
箱崎星梨花
「もうちょっと甘えていいんですよ。頼ってほしいです」
箱崎星梨花
「ちゃんと手を引いていってあげますから」
箱崎星梨花
「だからね、桃子ちゃん…」
箱崎星梨花
「ちゃんと素直になってください」
周防桃子
「星梨花…ぐすん」
周防桃子
「桃子ね…本当は帰りたいんだ」
周防桃子
「どうしたら、帰れると思う?」
箱崎星梨花
「大丈夫ですよ、帰り道ならちゃんと照らします」
箱崎星梨花
「だから、ね?」
周防桃子
そう言って微笑むと、星梨花は桃子の方へと真っ白な手を差し伸べる。
周防桃子
この手は取らなくちゃいけないと思ったから、立ち上がって手を伸ばしてみる。
周防桃子
バタン、その手は何も触れる事無く、桃子は地面に勢い余って叩き付けられる。
周防桃子
目の前には誰もいない。どうやら桃子はずっと一人だったみたい。
周防桃子
「嘘つき…」
周防桃子
「でも、ありがと」
(台詞数: 50)