中谷育
カキカキカキカキ…
中谷育
ケシケシケシケシ…
中谷育
(春休みの宿題を友達と一緒にやること)
中谷育
(これは田舎だろうと、都会だろうと変わらない)
中谷育
(日本全国どこにだって繰り広げられている…)
中谷育
(ありふれた、長期休暇の風景)
中谷育
…あのね、星梨花ちゃん。
箱崎星梨花
はい、なんでしょうか?
中谷育
四月から、星梨花ちゃんも隣の教室にいっちゃうんだね…
箱崎星梨花
ああ…はい、そうですね…
箱崎星梨花
えっと…寂しいですか?
中谷育
…うん。
中谷育
ちょっとだけ…
中谷育
(ほんとうはとっても寂しい)
中谷育
(けれど、その言葉はあえて呑み込んだ)
中谷育
(ほんとうのことを言ったら、きっと、星梨花ちゃんを困らせちゃうと思ったから…)
中谷育
えへへ…ごめんごめん。
中谷育
なんだか、湿っぽくなっちゃったね。
中谷育
でもね、嬉しい事もあるんだよ?
箱崎星梨花
…えっと、たとえばなんでしょうか?
中谷育
えっとね、えっとね!
中谷育
あのひろーい教室を、わたし一人で独占できるんだ~!!
箱崎星梨花
おお、それはすごいです!育ちゃんの部屋です!!
中谷育
そうだよ!
中谷育
わたし、一人の…!
中谷育
独りだけの!!
中谷育
独りぼっちの…シュン
中谷育
(無理やり取り繕ってみせたけど、これじゃ、完全に空元気なの見え見えだよね)
箱崎星梨花
なんかごめんなさい…
中谷育
いえいえ、こちらこそごめんなさい…
中谷育
(一瞬、空気がどんよりして、気まずくなった)
箱崎星梨花
ねぇ、育ちゃん。
中谷育
ひ、一雨きそうだね!!
箱崎星梨花
あそこ。
中谷育
(星梨花ちゃんが指差した、庭の縁石の上、そこにはカエルが一匹いて…)
中谷育
わー、カエルだ~!!
箱崎星梨花
きっと、冬眠から目覚めたんでしょうね。
箱崎星梨花
カエルさんで思い出しました、育ちゃんはこれ、持っていますか?
中谷育
(星梨花ちゃんの手のひらの上にはカエルのキーホルダーが置かれている)
中谷育
あっ、お揃いの!
箱崎星梨花
はい!
中谷育
うん、ちゃんと大切に持ってるよ!!
中谷育
(わたしも負けずと取り出して、手のひらの上に乗せてみる)
箱崎星梨花
よかったです、それじゃあ、このお友達の証に免じて…
箱崎星梨花
育ちゃんのお願い事を一つ叶えてあげます!
中谷育
ほんとに!?
箱崎星梨花
はい、だけど欲張りはダメですよ!?
中谷育
ん~…そうだな~。
中谷育
一つだけ、あるよ。
中谷育
わたし、お百度参りがしたいな!
(台詞数: 50)