エミリー
~海水浴場に行く前日の夜~
エミリー
翌日の身支度を済ませ、念のため、確認の意味も込め星梨花の部屋を訪ねてみました。
エミリー
しかし…
箱崎星梨花
「zzzZZZ…」
エミリー
どうやら既に御就寝のようです。
箱崎星梨花
「すぅ…むにゃむにゃ…鮫に餌付けをしたらダメですよ…エミリー…すぅ…」
エミリー
「さ…鮫?」
エミリー
一体、どのような夢を見ているのでしょうか…
エミリー
星梨花がどのような夢を見ているか、詳しい事は不明ですが…
エミリー
(どうか、その夢が正夢にだけはなりませんように…)
エミリー
合掌…
エミリー
「ふぅ…えっへんっ…おやすみなさい」
エミリー
寝ている星梨花を起さないように、そっと部屋の扉を閉めて…
エミリー
私の部屋に向かって歩き出す。豪邸のせいなのか少し遠いです。
エミリー
廊下を少し歩くと、私の視線に書斎の扉から漏れている明かりが入ってきました。
エミリー
「こんな時間に明かりが…珍しいです」
エミリー
ふと、書斎にいるのが誰なのか気になりました。
エミリー
「隠密、隠密っ…です♪…えっへん!(小声)」
エミリー
サササッ…サササッ!
エミリー
本物の忍者になったつもりで、忍び足で扉に近づくと光の差す隙間を覗きこみます。
エミリー
(壁に耳あり障子にエミリーです!!)
エミリー
そこにはなんとも物悲しそうな顔を浮かべ、古いアルバムを捲っている星梨花の…
エミリー
いえ、私と星梨花のお父さんがいました。
エミリー
「お父さん…?」
エミリー
(Oops!私としたことがやってしまいました…)
エミリー
思わず声を漏らしてしまった私の声に呼応してお父さんの背中がピクッと動きます。
エミリー
(これでは忍者失格ですね…)
黒井社長
箱崎父「エミリーじゃないか、どうしたんだいそんなところで?」
エミリー
「え、エミリーじゃありません!!わ、私は…この家に住む妖精さんです!!」
黒井社長
箱崎父「扉の裏に隠れながら言われてもだなぁ…」
黒井社長
箱崎父「まぁ、いいだろう…妖精さんも私と一緒にアルバムでもみるかい?」
エミリー
「ぜ、是非!!…ガタンッ…い、いたっ…」
エミリー
(わわわわ、アルバムが見たさ過ぎて勢い余って頭をぶつけてしまいました!)
黒井社長
箱崎父「ハハハハ…妖精さんでも流石にその扉はすり抜けられないだろう」
黒井社長
箱崎父「まぁ、いいだろう、上がってきなさい」
エミリー
「し、失礼します!」
エミリー
スッ…!
黒井社長
箱崎父「やっぱりエミリーじゃないか」
エミリー
「ち、違います(汗)えっと、これは仮初の姿なんです」
エミリー
「貴方が怖がらないように馴染の深い親しい者の姿になっているんです(震え声)」
黒井社長
箱崎父「そんなこともあるのだな、どうせなら愛娘の姿が良かったよ妖精さん」
エミリー
「星梨花の姿だと貴方は暴走しちゃうのでダメです」
黒井社長
箱崎父「ははは、その通りだな…暴走か…言い得て妙だ」
エミリー
お父さんの表情がまた哀しくなっています。
黒井社長
箱崎父「まあ、そのなんだ、エミ…じゃなくて笑みが可愛らしい妖精さん」
黒井社長
箱崎父「こっちに来てアルバムを一緒に見ようじゃないか」
エミリー
「はい!!」
エミリー
お父さんが開いているページを私に差し出します。
エミリー
そこには砂浜で楽しそうにはしゃいでいる幼き日の星梨花とお父さんがいました。
エミリー
「あのっ…ここってもしかして…!?」
(台詞数: 50)