エミリー
「懐かしい夢を見ていました」
エミリー
「私が日本を訪れたいと志すようになった日のことの夢、です」
箱崎星梨花
「そうですか」
箱崎星梨花
「それがドリームカムトゥルーしたから、幸せそうな夢として見ていたんですね」
エミリー
「はい」
エミリー
「ただ…」
箱崎星梨花
「ただ?」
エミリー
「全てが叶ったというわけではありません」
箱崎星梨花
「ふむふむ」
箱崎星梨花
「オッケー!!」
エミリー
「Okay!?」
箱崎星梨花
「はい!!オッケーです!!!」
箱崎星梨花
「そのお話、わたしに聞かせてください!」
箱崎星梨花
グイグイッ…
エミリー
「そ、それは…」
箱崎星梨花
「ダ、ダメでしょうか?」
エミリー
「そ、そんなことないですっ!!」
エミリー
「えっと、私、どうしても会いたい人がいるんです」
箱崎星梨花
「会いたい人?」
エミリー
「はい!!」
エミリー
「昔、お手紙を頂いたんです」
箱崎星梨花
「その人がどこに住んでいる人かわかりますか?」
エミリー
「それは…残念な事に、差出人不明だったのでわかりません…」
エミリー
「でも…」
エミリー
「なんだか近くに居る気がするんです」
エミリー
「そう、とっても近くに…」
箱崎星梨花
「そっか」
箱崎星梨花
「あっ、エミリー!!」
エミリー
星梨花は、私の頬に人差し指で軽く触れる、その指は、そのまま何かを拭うように頬を伝って…
箱崎星梨花
「エミリーの綺麗なお顔が濡れて台無しですよ」
箱崎星梨花
「泣いて、いるんですか?」
エミリー
「えっ、いえ、その様なはずが…」
エミリー
確かめるように、私も頬に触れてみる、すると、確かに濡れていた。
エミリー
そこには、瞳からこぼれ頬を伝った跡が残っている。
エミリー
「ちょっと不思議な気分です」
箱崎星梨花
「エミリー、きっと大丈夫です!!」
箱崎星梨花
「私が、その人を探すお手伝いをします!!」
エミリー
「ありがとうございます」
箱崎星梨花
「それじゃ、早速お布団から出ませんか?」
箱崎星梨花
「皆さんも待っていますし、折角のサマーバケーション、有効に使わないとです!」…フンス!
エミリー
私は星梨花と顔を見合って微笑み合う。それから、布団の外、和室の畳へと一歩を踏み出す。
エミリー
スタッ…!。着地と共に藺草を踏む綺麗な和の音が部屋の中に溶け込んだ。
エミリー
「日本での最初の夏休みですから、貴重なこの時間を満喫したいです」
エミリー
「皆さんと過ごす時間も、それに、星梨花と過ごす大切なこの時間もです!」
箱崎星梨花
「エミリー/////////」
エミリー
日本での初めての長期休暇、それは、この素晴らしい夏の始まりを告げる一歩でした。
エミリー
一方で、この時はまだ誰も知らなかったんです。
エミリー
これは終わりへと向かう一歩であること…
エミリー
これが皆と過ごす、最初で最後の夏になることを…
エミリー
そんな、何も知らない私達をあざ笑うかのように、蝉達が鳴いている。
(台詞数: 50)