シリアルシグナル
BGM
Dreaming!
脚本家
親衛隊
投稿日時
2016-05-16 18:42:43

脚本家コメント
Serial.

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箱崎星梨花
デジタルの荒野に吹く風は冷たい。
箱崎星梨花
姿形のない塵が、どうやってそれを知覚するのかなんて知る由もない。
箱崎星梨花
けれど"私"という存在は確かにそこにある。
箱崎星梨花
信じていた。
箱崎星梨花
────
箱崎星梨花
長い間眠っていたら塵が膨大に集められていた。
箱崎星梨花
風が冷たくなくなっている。
箱崎星梨花
組み上がって成したのは人の形。二本の足でしっかり地に立てている。
箱崎星梨花
間もなく血が巡り、体温を持ち、命を保つ権利を与えられた。
箱崎星梨花
眼球を拙く動かしていると、今まで荒野だと思っていた場所は荒野でないことに気付く。
箱崎星梨花
テントがあった。
箱崎星梨花
他には青い空、生い茂った木、和やかな落書き。
箱崎星梨花
良かった。見るからに平和そう。
箱崎星梨花
無意識に胸を撫で下ろしていた。
箱崎星梨花
人を知らない「箱崎星梨花」が、初めて行った人の行為。
箱崎星梨花
箱崎星梨花はアイドルである。
箱崎星梨花
情報が蓄積されていく。
箱崎星梨花
そういえばテレビで見たことがある。パパにどんな人たちなのか訊いたこともあったっけ。
箱崎星梨花
個性と記憶が与えられる。
箱崎星梨花
えっと。
箱崎星梨花
ここが。
箱崎星梨花
こうなって。
箱崎星梨花
こう!
箱崎星梨花
表情が与えられる。
箱崎星梨花
パパは"わたし"がアイドルになること、すごく心配してるけど……
箱崎星梨花
プロデューサーさんと一緒なら、きっとうまくいくよね?
箱崎星梨花
わたしが生まれました。
箱崎星梨花
それからしばらく、ぼうっと『ぶどーかん』を眺めていました。
箱崎星梨花
同じ塵、同じ場所で、同じ命を与えられたみんなといっしょに。
箱崎星梨花
『ここから始まるんだね』
箱崎星梨花
誰かがこっそり言いました。まだわたしの知らない人。
箱崎星梨花
今では、すっごく仲良しの人なんですよ。
箱崎星梨花
プロデューサーさん。わたし、まだまだみんなとアイドル頑張りたいです。
箱崎星梨花
衣装もたくさん、ステージに立てて歌も歌えて……えへへ、とっても幸せですから。
箱崎星梨花
それであの……わたし、新しい目標ができたんです。
箱崎星梨花
ステージからお客さんを見てて思いついたんですけど。
箱崎星梨花
わたし、わたしのことを応援してくれるみんなの中にいたいんです。
箱崎星梨花
たとえばプロデューサーさん。
箱崎星梨花
初めてファンになってくれた、わたしのプロデューサーさん。
箱崎星梨花
あなたの脳に直接、最初と同じように塵を積もらせて形を成せば……
箱崎星梨花
あなたの中に「箱崎星梨花」が実在するのではないでしょうか?
箱崎星梨花
そうすれば、わたしはいつでもあなたといっしょ、ですよね。
箱崎星梨花
ずっと、ずっと、いっしょにいたいな?

(台詞数: 43)