周防桃子
「アイドルってどうやったらなれるの!?」
箱崎星梨花
「えっと…」
箱崎星梨花
「えっと…なりたいって気持ちがあればなれると思います!」
周防桃子
「それ、絶対嘘だよね?」
箱崎星梨花
「えっ…」
周防桃子
「桃子、芸能界の事知ってるけど、そんな生温い世界じゃないよ」
周防桃子
刑事ドラマで刑事が容疑者を尋問で追い詰める様に…
周防桃子
補導された子役スターは、同じく補導されたアイドルに詰め寄る。
周防桃子
その勢いに圧倒されたのか、目の前にいるアイドルは戸惑いを隠せていない様子だった。
周防桃子
(ちょっと、強く言いすぎちゃったかな…)
周防桃子
時間の経過と共に桃子がそう思い始めていたんだよ。
周防桃子
「あのっ!」
箱崎星梨花
「あのっ!!」
箱崎星梨花
「あわわわわ、どうぞっ!」
周防桃子
「アイドルのお姉ちゃんからでいいよ」
箱崎星梨花
「芸能界の事を知っているって、もしかして桃子ちゃんもアイドルなんですか!?」
周防桃子
アイドルから足元を掬われた感覚に陥るくらいの変化球が飛んできた。
周防桃子
「えっ、そっち!?」
周防桃子
「まぁ…いいけど…」
周防桃子
桃子、子役女優として全国的に有名で知名度も高いはずだけど…
周防桃子
知らない人もいるんだね…。
箱崎星梨花
「それで、どうなんでしょうか?」
周防桃子
「桃子はアイドルじゃないよ」
周防桃子
「でもね、テレビで桃子のこと見たことない?」
箱崎星梨花
「すみません、ないです…」
周防桃子
「ないのっ!?」
周防桃子
「まぁ…いいけど…」
周防桃子
「それじゃあ、あそこに貼ってある交通安全ポスター見てみて!」
周防桃子
室内の奥にあるポスターを桃子は指差した。
周防桃子
『ルールを守らないと、お仕置きだよ!!』
周防桃子
しょうもないキャッチフレーズだよね。
周防桃子
警察官の制服を着た桃子が手錠をぶら下げて悪戯な笑みを浮かべている。
周防桃子
隣のアイドルに視線を移すと、桃子の事に気付いたのか大きく目を見開いていた。
箱崎星梨花
「あっ!!」
周防桃子
そう声を漏らすアイドルに、してやったり感も相まってか…
周防桃子
内心、あのポスターの様な笑みを浮かべていた、彼女が言葉を発するまでは…
箱崎星梨花
「すごいです!そっくりさんですね!!」
周防桃子
「はぁ…」
周防桃子
突拍子もない発言に、流石の桃子も、大きな溜め息をついちゃうよね。
周防桃子
「もうっ!桃子のこと揶揄ってるの!?」
箱崎星梨花
「そ、そんなつもりは…」
周防桃子
「桃子の堪忍袋の緒が切れるのも、時間の問題だよ!」
周防桃子
慌てるアイドルに、踏み台にあがったベテラン子役の有り難い説教が始まる。
周防桃子
「桃子は女優だよ!!小さい頃からず~っとやってるんだよ!!」
周防桃子
「だから桃子はあなたの先輩なんだよ!!」
箱崎星梨花
「そうなんですか!?失礼しました…」
周防桃子
「そ、それで、まず先輩には名前を教えるのが礼儀ってものじゃないの?」
箱崎星梨花
「はいっ!遅くなりました…わたし、箱崎星梨花です、えへへ♪」
周防桃子
「周防桃子だよ、よろしく、それに今からは対等に話してもいいよ!」
周防桃子
「その代わり、桃子がアイドルになるのを手伝って!!!」
(台詞数: 50)