玲音
B◉◉◯ S◉◉ O◉◯
玲音
実況「3回裏1アウトランナーなし、カウントは2ボール2ストライク。」
玲音
実況「ここまで961チームは玲音選手の好投により765チームの出塁を許しておりません。」
玲音
実況「果たして次の一球はどう出るのか。キャッチャーの采配も見どころです!」
玲音
(……フッ、いかに765プロといえど、やはりこのアタシには敵わないようだね。)
玲音
(単にストレートとフォークを使い分けただけなのだが、まさかここまで抑えられるとはね。)
玲音
(さて、次の一球は……。)
天海春香
(……玲音さん、強い……。あの人、野球のセンスも抜群なんだね……。)
天海春香
(さすが、オーバーランクの名は伊達じゃない、ってことだね。私じゃ到底敵わないや。)
天海春香
(……でも、ここでの勝敗は別。何としても出塁しないと!)
玲音
実況「対する天海選手、ここまで2球フォークで空振りをしております。」
玲音
実況「さあ、こちらはどう出……」
玲音
実況「さあ、こちらはどう出……おおっと天海選手、バントの構えに入りました!」
玲音
実況「これはセーフティー狙いか!? はたまたそれに見せかけたバスターで来るのか!?」
玲音
(この状況でバント!? セーフティーを狙うにしても構えるのが早過ぎるのではないか!?)
玲音
(……いや、そもそも2ストライクで構える方がおかしい。失敗したら3バントでアウトだぞ!?)
玲音
(……何を企んでいるのだ、天海……!?)
天海春香
(プロ……監督さんからは“自由にやれ”ってサインだったから、この手を使ってみたけど……。)
天海春香
(明らかに動揺してる。そうだよね、こんな状況でバントを構える選手は普通いないよね。)
天海春香
(……だからこそ、ここでの駆け引きが生きる……!)
玲音
(……いいや、落ち着くのだ玲音。天海は先のフォークを2球とも空振りしている。)
玲音
(セーフティーかバスターかは知らないが、どちらにしろこの球種に対応するのは不可能。)
玲音
(……となると、やはり……!)
玲音
実況「5球目、ピッチャー振りかぶって……。」
玲音
(このフォークで決着をつける! さらばだ天海!)
玲音
実況「投げました!」
玲音
実況「投げました! ……っ!? 天海選手、あの構えは一体……!?」
天海春香
(かかったね玲音さん! この状況なら絶対にフォークで来ると信じてたよ!)
玲音
《コンッ》なっ……!? バットを“縦に”持ち替えて……!?
玲音
実況「天海選手、まさかのバントです! しかも、バットを縦に持ち替えた上で!」
玲音
(……っ! しまった、呆気に取られて一瞬出遅れた! …だがこの位置ならアタシが一番早い!)
玲音
実況「玲音選手、一瞬反応が遅れるも、ボールを拾って……一塁へ送球!」
天海春香
(……もう少し、あと一歩……)
天海春香
(……もう少し、あと一歩……) ……っとっと……うわあっ!!
天海春香
《どんがらがっしゃーん!! ずざぁーっ!!》
玲音
一塁審「……………」
玲音
一塁審「……………セーフ! セェェェェェェェフッッ!!」
玲音
実況「やりました天海選手! セーフティーバント成功! 765チーム、初の出塁です!」
玲音
実況「加えて天海選手の渾身のヘッドスライディングにより、客席も大盛り上がりです!」
天海春香
(やりましたよプロ……監督さん! セーフティーですよ、セーフティー!)
天海春香
(……あ、こっちに手を振ってから……サムズアップしてくれた!えへへ……♪)
玲音
(……なるほどね。やはりアタシが見込んだだけあって、なかなか大したものだな、キミ達は。)
玲音
(だけど、アタシが使える変化球はフォークだけじゃないよ。さて、ここからが本番かな。)
玲音
(キミ達の底力、アタシに見せてくれ!!)
天海春香
(……………。)
天海春香
(監督……いいえ、プロデューサーさん。)
天海春香
(もし私が無事にホームインすることが出来たら……、)
天海春香
(ご褒美に、頭をナデナデしてくださいね?)
(台詞数: 48)