箱崎星梨花
光は神様からの贈り物なんかじゃない
箱崎星梨花
わたしに光をくれたのは
箱崎星梨花
七尾百合子さんというわたしとは比較的に歳の近い女の子でした
箱崎星梨花
あの日、お母さんがわたし宛にお手紙が届いていると言い、大切そうに手紙を取り出しました
箱崎星梨花
わたしは目が見えるようになったばかりで、お手紙になんて書いてあるか読めませんでした
箱崎星梨花
だからお母さんがわたしの代わりにわたしにわかるように朗読をしてくれました
箱崎星梨花
七尾百合子さんがわたしに書いてくれたお手紙を
箱崎星梨花
お母さんがお手紙を読み終える頃には
箱崎星梨花
わたしはお母さんとお父さんみたいに瞳から雫を流していました
箱崎星梨花
できることならば百合子さんに直接会ってお礼がしたかったです
箱崎星梨花
でもそれが不可能なんだと思うと自然と涙が溢れだしてくるのです
箱崎星梨花
淋しいようで、とても不思議な感覚でした
箱崎星梨花
そんなわたしを見てお母さんはわたしのことを何も言わずに抱き締めてくれました
箱崎星梨花
とても暖かかったです、お母さんの温もりと優しさが伝わってきました
箱崎星梨花
お母さんの胸の中でわたしは百合子さんのいないこの世界でわたしにできることを考えました
箱崎星梨花
わたしに光をくれた百合子さんにわたしができる恩返しを
箱崎星梨花
百合子さんが憧れたこの世界を百合子さんの分までわたしは生きて
箱崎星梨花
この眼で見ていくとわたしは決めました
箱崎星梨花
そして百合子さんに光をあげた望月杏奈さんにわたしは会いたくなりました
箱崎星梨花
おかしいですかね?
箱崎星梨花
百合子さんが全てを打ち明けることができたのか
箱崎星梨花
杏奈さんに気持ちを伝えることができたのか
箱崎星梨花
わたしは気になりました
箱崎星梨花
もし伝えることができていなかったとしたら
箱崎星梨花
わたしが少しでも杏奈さんを導いて
箱崎星梨花
百合子さんの気持ちを伝えるお手伝いをしたい
箱崎星梨花
そう強く心から思いました
箱崎星梨花
やっぱわたしおかしいですかね?
箱崎星梨花
それからの日々、わたしは春になるまでずっとお勉強をしました
箱崎星梨花
百合子さんが通っていた、そして杏奈さんが通っている学校に入るために猛勉強しました
箱崎星梨花
勉強ばかりであまり外に出れないことは百合子さんに謝りました
箱崎星梨花
ごめんなさい、もう少し待っていてくださいねって
箱崎星梨花
辛い時もありましたけど、全く苦になりませんでした
箱崎星梨花
次第に字もちゃんと読み書きできるようになりました
箱崎星梨花
なのでわたしだけで百合子さんのお手紙を読めるようになったときはとても嬉しかったです
箱崎星梨花
読めるようになってからは何度も何度も読み返しました
箱崎星梨花
その度に思うんです、早く杏奈さんにお会いしたいって
箱崎星梨花
やがてわたしにとって初めての春がやってきました
箱崎星梨花
そしてあの日の放課後、わたしはたまたまぼーっとしている人にぶつかってしまいました
箱崎星梨花
その人が落としました
箱崎星梨花
~If winter comes,can spring be far behind?~
箱崎星梨花
~杏奈ちゃんへ、七尾百合子より~
箱崎星梨花
わたしのとは対照的に、未開封で綺麗なお手紙を
(台詞数: 43)