望月杏奈
杏奈には…これを読む資格が…ない!
望月杏奈
杏奈に大切な話をしようとしてくれたリリィを裏切って、傷付けちゃったから!
箱崎星梨花
杏奈さん…
望月杏奈
だから杏奈は待ち続ける
望月杏奈
リリィが杏奈を許してくれて、戻ってくる日まで
望月杏奈
そして杏奈にしてくれようとした話をしてくれる日がやってくるまでは
望月杏奈
杏奈に百合子からの手紙を読む資格なんてない!
望月杏奈
止まった時間も、季節も動かない!
箱崎星梨花
本当にそれでいいんですか?
箱崎星梨花
杏奈さんは百合子さんの気持ちをそうやってずっと閉じ込めておくんですか!?
箱崎星梨花
百合子さんはきっと杏奈さんにお手紙を読んで欲しいと思っているはずです!
箱崎星梨花
ずっと杏奈さんに…気持ちを受け止めて欲しいと思って…
望月杏奈
あなたに…星梨花ちゃんに百合子の何がわかるの?
箱崎星梨花
わたしには…
箱崎星梨花
わかるんです!
箱崎星梨花
その手紙を見た時からずっと、百合子さんの杏奈さんに対する気持ちが直に伝わってくるんです!
望月杏奈
嘘はやめて!
望月杏奈
星梨花ちゃんにわかるはずがない!
望月杏奈
だって星梨花ちゃんは百合子に会ったことがない!
望月杏奈
そう、赤の他人
箱崎星梨花
…星梨花の表情が変わっていくのが明らかにわかる、杏奈は追い討ちをかけるように続けた
望月杏奈
それなのに、百合子のこと、知った口をきくのはやめて!!
箱崎星梨花
…星梨花は握り拳をつくってその小さな身体を震わしている
箱崎星梨花
…同時に瞳からは大粒の涙が止まることなく溢れていた
箱崎星梨花
そうですよね…
箱崎星梨花
わたしに…わかるはずがないですよね
箱崎星梨花
会ったことがない人のことなんて…わたしにわかるはずがないですよね
箱崎星梨花
わたしが…バカでした
望月杏奈
…星梨花の声は震えていた
望月杏奈
…涙を流し続けながら無理矢理作られたその笑顔は
望月杏奈
…今までの輝きを失い、同時に寂しさ、無力感すら漂わせている
箱崎星梨花
すみません…失礼します
望月杏奈
…星梨花は踵を返すように振り返ると走り去ってしまう
望月杏奈
その時の勢いでポケットからしわくちゃになった紙のようなものを落としていった
望月杏奈
杏奈がしわくちゃになった紙を拾い上げると
望月杏奈
それが読み古された手紙だということがわかった
望月杏奈
その手紙はこう始まっていた
望月杏奈
～私の知らないあなたへ～
(台詞数: 38)