Journey to chaos
BGM
空想文学少女
脚本家
平沢ヒラリー
投稿日時
2016-09-14 00:18:49

脚本家コメント
パーク様よりお題提供作品。
リクエストなんて貰ったら簡単に書けるのに誰もくれないな~欲しいな~(チラッ)なんて馬鹿な発言をした事を深くお詫び申し上げます。自分から要求しておいてこのクオリティって…

コメントを残す
七尾百合子
『エントロピーって、知ってる?』
七尾百合子
私の前の彼女はにっこりと笑ってそう言った。
七尾百合子
「聞いたことぐらいはありますけど。」
七尾百合子
『実は私もよく知らないの、けどね。』
七尾百合子
『こうやって今、このごみを捨てたとするでしょ。すると、ここは綺麗になる。』
七尾百合子
『つまり今この場所のエントロピーはちょびっとだけ減った、でもね。』
七尾百合子
『逆にごみを入れたごみ箱の中のエントロピーはちょびっとだけ増えちゃった。』
七尾百合子
『こんなふうに常に発生して増え続けて、減少は無い。それがエントロピーの法則なんだって。』
七尾百合子
「なんかちょっとかっこいいですね、その言い方。」
七尾百合子
少しテンションの上がった私を見て、彼女はまたにっこり笑って。
七尾百合子
『…もしも、増加が止まったらどうなっちゃうのかな。』
七尾百合子
「さあ…?」
七尾百合子
『何も起きない。増えない、生まれない。』
七尾百合子
『苦しいとか辛いとかも無い。その代わり嬉しいとも楽しいとも思えない。』
七尾百合子
『全てが止まったままで、時間さえ過ぎない。生きてるのか、死んでるのかも分かんない。』
七尾百合子
「そんなのは、嫌ですね…」
七尾百合子
『でもきっと、そんな世界なら何も思わないはずだよ。嫌だって感情さえも。』
七尾百合子
『全てが混沌としていて、停滞したままで。そんな世界なら私達はどうなっちゃうんだろうね?』
七尾百合子
…いつものよく分からない言動、良く言っても単なる好奇心。それで片付けるのは簡単だ。
七尾百合子
けど、彼女の言いたい事は何となく分かる。そして、何故そんな事を言ったのかも。
七尾百合子
好きな小説の一節にあったっけ。「天秤は激しく揺れ動いて、もはや止まる事を知らぬ。」
七尾百合子
私達は常に天秤を動かさなくてはならない。止めてしまってはいけないんだ。
七尾百合子
そうしないと喜びも悲しみも、怒りも楽しさも、無くしてしまうから。
七尾百合子
そんな事を考えている私の頭の中に
野々原茜
麗花ちゃん、何なのさこれぇぇ!この缶詰、茜ちゃんより歳上なんですけどぉ!?
七尾百合子
…天秤は、少しぐらいなら止めても良いのかもしれない。
野々原茜
ユリッチ?現実逃避したい気は分かるよ、けど今それどころじゃないかんね…製造年月日、昭和!?

(台詞数: 27)