北沢志保
給湯室からの物音に驚き私は慌てて左手をポケットに入れた。ソッと覗くと意外な先客
北沢志保
「来てたの?」
北沢志保
「来てたの?」9つ離れた私の弟、最近頻繁に事務所に遊びに来るようになった。
北沢志保
家庭の事情を察してくれてか、本来なら部外者の弟を皆が温かく迎えてくれるのは正直な所嬉しい
北沢志保
弟は今年入学したばかりの一年生、ニッと歯を見せて笑う笑顔にあどけなさが残る
北沢志保
見ると手にはコップに注がれた牛乳「ちゃんと小鳥さんに『牛乳頂きます』って言いなさいよ」
北沢志保
と注意すると「姉ちゃんも飲む?」と冷蔵庫から「団結」と書かれた一升瓶を引っ張り出してくる
北沢志保
「それはこのみさんのでしょ!閉まっておきなさい」全く、私がお酒を飲まないの知ってる癖に
横山奈緒
(ガチャ)あ”ー突然お邪魔してもてスンマセン私らこういうもんです
横山奈緒
(ガチャ)あ”ー突然お邪魔してもてスンマセン私らこういうもんです(警察手帳サッ)
野々原茜
横山ァ.......慎重に行けぇ(低音)
北沢志保
..........えぇっと.....2人して何してるんですか?
北沢志保
ツッコむ私の事など歯牙にも掛けない様子で奈緒さんは抱えていたハシゴを戸棚に立て掛け始めた
横山奈緒
よっこいしょ、っと...........
横山奈緒
よっこいしょ、っと...........アカン、やられました
野々原茜
これで8件目か、おのれ頭の黒いネズミめ
北沢志保
唸りながらこちらをチラッチラッと見てくる2人。ハイハイ乗れば良いんですねと、ため息が漏れる
北沢志保
「何かあったんですか?」
野々原茜
お嬢さん、一般人が興味本意で首を突っ込んじゃあ火傷じゃ済まなくなりますよ?
北沢志保
「あ、じゃあ結構です」踵を返し給湯室を後にしようとすると両脇からガシッと2人にすがられる
横山奈緒
まあまあまあまあ、もうチョットもうチョットだけやから、な?
野々原茜
実は、最近事務所につまみ食い犯が出てて皆のおやつとか茜ちゃんのプリンとかがやられたんだよ~
横山奈緒
可奈のプチシューに紗代子のたい焼き百合子のおはぎ、貴音のラーメン私のたこ焼きもやられてん
北沢志保
「また手当たり次第ですね」仕事で疲れた時に好物が無くなっていたら、確かに怒る気持ちも分かる
野々原茜
で、戸棚の上なら大丈夫かと思って試しにハシゴ使ってアンパンを設置してみたんだけど
横山奈緒
見事に食べられとった、犯人はチョットした段差を利用すれば戸棚の上にも手が届く身長みたいやな
北沢志保
ウチで1番身長が高くて食べ物に目が無いと言えば、貴音さんでしょうけど。確か今日は.....
横山奈緒
ひなたと北海道グルメロケに行ってるから無理やなちなみにプロデューサーさんも付き添いやで
野々原茜
今日帰って来る予定だっけ?確か午前中で収録は終わったんだよね?
横山奈緒
何でも折角久しぶりに地元に来たんやからってひなたに家族と会える時間作ったげてるんやて
北沢志保
「プロデューサーさんらしいですね」スケジュールの調整大変だったハズなのにお人好しなんだから
横山奈緒
ちなみに貴音が「折角行くのですからご当地らぁめんを全種類こんぷりぃとしなければ帰れません」
横山奈緒
って行く前に息巻いてたから今頃プロデューサーさん引きずり回させとるんちゃう?
北沢志保
頭の中に「いざ、試される大地!」と言いながらラーメンをすすって走り回る貴音さんが出て来る
北沢志保
「はぁ....」全く、プロデューサーさんの事だから貴音さんの食費会計に追われているんだろう
野々原茜
アルェ~?ため息なんて付いたりしてヒョッとしちゃってヤキモチ?ジェラっちゃった?
北沢志保
「そんなんじゃ、ありませんよ」出張の度に嫉妬してたんじゃ身が持たない
横山奈緒
いやーん、私とプロデューサーさんは信頼で結ばれてるから心配無い~みたいな~アッツアツやな~
北沢志保
「もう、からかわないで下さいよ」見ると弟が口笛を吹いて囃し立てている。後で覚えときなさいよ
北沢志保
「それはそうとつまみ食い犯ってもう答えが出てるんじゃないですか」言いながら私は回れ右をする
北沢志保
”「犯人は、貴方ね」冷蔵庫の前で飲みかけのコップを持った弟”に3つの視線が集まる
北沢志保
ほくそ笑みのっそりと立ち上がる。大きい、”中学の頃に抜かされてから更に身長が伸びた様だ”
北沢志保
”「全く、高校に入ればもう少し大人しくなるかと思っていたのに相変わらず悪戯ばっかり」”
横山奈緒
今日と言う今日は覚悟しいや!いくら弟くんかて3人がかりやったら...
横山奈緒
今日と言う今日は覚悟しいや!いくら弟くんかて3人がかりやったら...(ガタッ)あ、逃げた!
野々原茜
___人人人人人人________>横山ァ、確保だー!<_____ ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄
横山奈緒
待たんかい!この食いしん坊万歳があああぁぁぁぁ!
北沢志保
「はぁ....」私も今年で24。そろそろ弟離れしないと、ずっとベッタリでは将来が不安だ
北沢志保
家族の事が心配だからと保留にしていたけれど、この分ならプロポーズを受けても良いかな。
北沢志保
左のポケットに手を入れると薬指にあのお人好しさんから渡された指輪が当たった。
(台詞数: 50)