七尾百合子
私はさすらいのフードブロガー七尾。今日も隠れ美味屋さんを追い求め彷徨ってます。
七尾百合子
でもここら辺の食べ物屋さんはあらかた食べ尽くしたしなぁ。今日も収穫ゼロかな。
七尾百合子
よし、そんな時は諦めずに路地の奥の奥まで行ってみよう!
七尾百合子
その判断が今、私を食事界の秘境へと誘ったのである。
七尾百合子
お!こんな所に蕎麦屋さんが!こういう所は穴場なんですよね。たのもう!ガラガラ
如月千早
あ、すみません。内は一見さんお断わりで……
七尾百合子
しまった意外と格式の高い店だった。失礼しました……
真壁瑞希
あ、ちょちょいお待ちなされ旅人よ。やっぱ入って良いですよ。うぇるかむ。
如月千早
店長、ルールはどうしたんですか。ボソボソ
真壁瑞希
だってこのままだとお客さん一度も見ないまま私達餓死します。ボソボソ
如月千早
だから言ったじゃないですか。知り合いが居ないのに一見さん断ったら誰も入れないって。ボソ
真壁瑞希
だって言ってみたかったんだもん。ボソボソ
真壁瑞希
カウンター席、お座敷、テラス席がありますがどうしましょう。
七尾百合子
え、テラスあるんですか!風流!そこでお願いします。
真壁瑞希
その代わりテーブルと椅子がありませんがよろしいでしょうか。
七尾百合子
カウンターで。
七尾百合子
むむ、これは失敗したかなあ……ん?でも店内は綺麗だし机などの品も随分良い物を。
七尾百合子
もしかしてここってめっちゃ儲かってる系の店!
如月千早
いえ、お客様が初めての人ですよ。
七尾百合子
え、でもなんか高そうな調度品が沢山……どこからそんなお金が。
真壁瑞希
広告収入です。
七尾百合子
くぅ、尽く期待が裏切られる。
如月千早
どうぞ、こちらメニューです。
七尾百合子
あ、ありがとうございます。オススメはなんですか?
如月千早
そうですね、ここを出て大通りの交差点を越えたすぐ右の所にちゃんとした蕎麦屋さんが。
七尾百合子
この店ので。
真壁瑞希
なんだかんだいってかけ蕎麦ですね。作るの簡単なので。
七尾百合子
もういいやメニューメニュー。
七尾百合子
ええと、きつね、たぬき、むじな、肉、カレー、今話題のスマホアプリ……
七尾百合子
いや今話題のスマホアプリってなんですか!!
真壁瑞希
メニューに見せかけた広告です。
七尾百合子
こうやって収入を!あ、あと流しかけましたけどむじなって何ですか!?
如月千早
ごめんなさい、私の落書きです。
七尾百合子
もう何でも良いから持ってきてください!
真壁瑞希
はいカレーライス一丁!
七尾百合子
ライス!!!!!!!!
七尾百合子
でもアホみたいに美味しい!一体どんな秘密が!!
真壁瑞希
数十種類のスパイスと数十人のスパイを使いました。
如月千早
私がその数十人のうちの一人でもあります。デザートのパフェをどうぞ。
七尾百合子
蕎麦感を出すつもりが欠片も無いですねうわこれも物凄く美味しい。
七尾百合子
この美味しさ、やっぱり何か秘密があるんですね!
真壁瑞希
……とくに?
如月千早
……ないですよね?
七尾百合子
ごちそうさまでした!!!
如月千早
あ、お客様、こちら次回から使えるクーポンになっております。
如月千早
そしてこちらが前回まで使えたクーポン、こちらが妙齢のスッポンです。
七尾百合子
あれからいくつの時が立っただろう。
七尾百合子
私が迷い込んだ不思議な蕎麦屋には、もう二度とたどり着く事が出来なかった。
七尾百合子
クーポンだと思った物は、見た事ない植物の葉だった。それで思い出したのだ。ここは霧の街。
七尾百合子
ずっと狢が住んでいる。
(台詞数: 50)