如月千早
「最近、母と手紙のやり取りをするようになりました」
如月千早
この言葉を、この頃、誰かと話す度に言っているような気がする。
如月千早
昔の私ならば、決して、私自身がこんなことを言っているなんて信じてくれないと思います。
如月千早
そんな以前の私に問いかけるみたいに、確認するみたいに…
如月千早
少し前の等身大の私が信じてくれるようになるまで…
如月千早
私は誰かにこの事実を告げよう思います。
如月千早
『季節が変わっていくみたいに、みんなも未来に向かって進んでいくよね?』
如月千早
『だったら、私も変わっていきたい』
如月千早
『進んでいくことで見える景色を、私はみんなと一緒にみたいな』
如月千早
一昨年のアリーナライブの前、私のもう一つの大切な家族がそんなことを言っていたかしら…
如月千早
私は果たして変われたんでしょうか。
如月千早
ふふっ…
如月千早
愚問ですよね
如月千早
今、こうして家族宛の手紙を綴っていることこそが…
如月千早
私が変わったことのなによりの証明ですよね。
如月千早
歌うことに関しては自信はあるけれど…
如月千早
文を書くことも、自分の気持ちを文字に起こすことも、あまり得意ではないわ。
如月千早
達筆ではない私が、招待券以外に、まともに初めて送った手紙の内容。
如月千早
それは、確か、そのライブを見に来てくれたことのお礼だけ…
如月千早
少し、事務的な内容っぽくなってしまったけれど…
如月千早
それが私の精一杯だった。
如月千早
けど、母は私に手紙を返してくれました。
如月千早
そこから始まった、私と母の文通。
如月千早
はじめは本当に他愛もない内容の文通だった…
如月千早
けど、次第に、互いに離れていた時間を埋めるかのような手紙のやり取りになっていきました。
如月千早
少し湿っぽくなるような思い出話もしました。
如月千早
主に、私の大切なもう一つの家族の話だったけれど…
如月千早
母は、興味を持って、色々聞いてくれたのは、正直嬉しく思いました。
如月千早
もう共に歩む未来はこないと思っていたけれど、それは間違いだと気付きました。
如月千早
~拝啓、如月千種様~
如月千早
私の大切なもう一つの家族の一人が言っていた言葉を少し拝借する事になるけれど…
如月千早
私の今現在の素直な心境をこの手紙に綴りたいと思います。
如月千早
少し照れ臭いことなんだけれど…
如月千早
今回こそは書かなくてはいけないと思ったからです。
如月千早
少し背中が痒くなるとは思いますが、私もそうなので…
如月千早
けれど、どうか最後まで読んでください。
如月千早
季節が変わっていくみたいに、私達の関係も変わっていくもの…
如月千早
けれど、決して変わらないものもあります。
如月千早
それは、私が貴方の娘であるということ。
如月千早
それは、貴方が私の母であるということ。
如月千早
だから、少し変わることができた親不孝な娘から、一言言わせてください。
如月千早
これからは進んでいくことで見える景色を、私は貴方とも一緒にみたいです。
(台詞数: 42)