永吉昴
…
七尾百合子
どうしたんですか昴さん。さっきから自分の手をじっと眺めて。
永吉昴
ああ百合子か。いや…この前オレ、握手会の仕事があったんだよ。
七尾百合子
はい。真さんとだから大人気でしたね、女の子があんなに集まった握手会初めて見ました。
七尾百合子
あ。もしかしてその事で、何か…?
永吉昴
いや、それはいいんだ。多分そうなるだろって真とも話してたし。けどよ。
永吉昴
そこでさ。握手した女の子達から、褒められたんだよ。「綺麗な手ですね」って。
七尾百合子
いい事じゃないですか。
永吉昴
だよな。やっぱ、そう思うよな…
七尾百合子
昴さん?
永吉昴
…つい最近まではさ。オレの手、こんなんじゃなかったんだ。
永吉昴
毎日素振りやって、投球練習して。マメが出来て破れて、ボロボロになってた。
七尾百合子
痛そうですね。
永吉昴
まあな。けど、なんて言うかさ。それはオレの勲章みたいなもんだったんだよ。
永吉昴
オレはこんなに頑張ってる。だから、きっと大丈夫。試合に勝てる。そう思ってたんだ。
永吉昴
なのに今は、こんなに綺麗になってる。アイドル始めてから、素振りもまともにしてないもんな。
七尾百合子
それは…
永吉昴
アイドルは楽しいんだぜ?女の子っぽくするのにも慣れたし、色んな事出来るし。
永吉昴
けど、手を見てたらさ。うまく言えないけど、あの頃のオレは何だったのかなって思って…
七尾百合子
…そんな考え方はいけませんよ昴さん。たしかに今のあなたは野球をまともにやっていません。
永吉昴
はっきり言うなよ、傷付くなぁ。
七尾百合子
ですが。今昴さんがアイドルとして活躍出来ているのは、厳しいレッスンをしてきたからです。
七尾百合子
そのレッスンに耐えられたのは、かつて野球で厳しい練習をこなしてきたからこそ…違いますか?
永吉昴
…
七尾百合子
野球を辞めた昴さんの手には、もうかつての面影はないのかもしれません。
七尾百合子
でも。今のその綺麗な手は、昴さんがアイドルとして頑張ってきた勲章なんです。そうでしょ?
永吉昴
そうか…そうか!
永吉昴
ありがとな、百合子。そうだよな、野球やってたから今のオレがあるんだよな。
永吉昴
よし!オレ、頑張るぜ。そしてもっともっと、素敵なアイドルになってやるからな。
望月杏奈
ん。よく言った、よ。それでこそ昴さん、だね…!
永吉昴
…へ?
望月杏奈
乙女ストームの望月杏奈だよ。
七尾百合子
杏奈ちゃん!どうしてここに?
望月杏奈
事務所でイベ消化しよって言ったの、百合子さんでしょ。なのにずっと、昴さんと話してた…
七尾百合子
あれっ!?
望月杏奈
昴さんの手。綺麗、だもんね。羨ましい。杏奈の手、赤ちゃんみたいって、よく言われる…
永吉昴
そ、そうか?杏奈の手も女の子っぽくて可愛いと思うんだけどな。
望月杏奈
ありがと。でもこれ、見て…?
七尾百合子
何、どうしたの…え、人差し指が、ゴツゴツしてる!何で!?
望月杏奈
ゲームのおかげ、だね。これが杏奈の、勲章?なんちゃって…
七尾百合子
もう杏奈ちゃんったら。もっとアイドルらしい事で頑張らなきゃ駄目でしょ?
望月杏奈
ん、そっちも、頑張るから…イベ消化、しよ?
七尾百合子
うんっ!
望月杏奈
(……スマホ操作中)
七尾百合子
(……スマホ操作中)
永吉昴
…
永吉昴
……
永吉昴
………すごい暇だなこれ。
七尾百合子
復刻イベント「激動!アイドル警察24時」は8/7(月)23:59までです。
望月杏奈
よろしくお願いします。
(台詞数: 50)