望月杏奈
ときわたりの光が消えていく…。
七尾百合子
あの人のヘルガーが、帰ってこないまま…。
七尾百合子
えっと、今のはいったい、どういうことなんですか…?
黒井社長
見ての通りだと思うのだが…。向こうにいたヘルガー達は、私のヘルガーの両親だよ。
黒井社長
…斜面の崩落事故に巻き込まれて、幼いデルビルを残して死んでしまった…な。
黒井社長
あいつの両親を救うため…そのために、私はセレビィの力を追い求めていたのだよ。
七尾百合子
…そのためだけに、貴方は何十年もセレビィを追い続けていたんですか。
黒井社長
私の幼少期を孤独から救ってくれたのが、あのヘルガーだったからな。
黒井社長
この瞬間だけが、私にとっての生きがいだったのだよ。
望月杏奈
…そのためだけに、ですか。
黒井社長
…む?
望月杏奈
そのためだけに、貴方は…百合子さんを殺そうとして、屋敷を焼いたんですか…。
黒井社長
……。
黒井社長
……その通りだ。ヘルガー以外は…セレビィすら、私にとってはただの道具でしかないのだからな。
望月杏奈
っ!!【バチンッ!!】
七尾百合子
杏奈ちゃん!?
望月杏奈
この人のせいで…!百合子さんは…!殺されかけて…!【バチンッ!バチンッ!】
黒井社長
……っ。
望月杏奈
このっ…!!【スッ…】
望月杏奈
【ドンッ!】きゃんっ!?
七尾百合子
杏奈ちゃん、大丈夫!?
望月杏奈
いたた…な、何に突き飛ばされた…の?
黒井社長
デルビル「ぐるる…」
七尾百合子
ヘルガーが呼んでたデルビルの一匹だよね…。デルビルの中でも、ずいぶんちっちゃいけど…。
黒井社長
まさか…お前、あいつの子供なのか…?
黒井社長
デルビル「わんっ!」
黒井社長
…はは。あいつは最後まで、私を気にかけてくれていたのか。私を独りにしないように…。
黒井社長
そうだな…。今度は、お前が私のそばにいてくれるのか。【ナデリナデリ】
望月杏奈
…なんだかいい話みたいになってるけど、百合子さんはいいの?
七尾百合子
いいって…何が?
望月杏奈
百合子さん、全然怒ってないみたいだから…。本当は、百合子さんが当事者…だよ?
七尾百合子
あはは…私よりも怒ってくれる人がいたから、怒るに怒れなくなっちゃって…。
望月杏奈
はうっ…。
七尾百合子
それに、怒るよりも心配の気持ちが大きくって。あの人、目的を果たした後は…。
七尾百合子
死んじゃってもいい、なんて考えてそうだったから…。
七尾百合子
だからむしろ、新しい生きがいが見つかってよかったって、心の底から思ってるよ。
望月杏奈
百合子さん…優しすぎるよ。
七尾百合子
見ず知らずの私を救ってくれた、杏奈ちゃんほどじゃないよ。
望月杏奈
っ…!!【カアアアァァ】
七尾百合子
全て終わったみたいだし、帰ろうか。さあ、貴方も一緒に帰りましょう?
黒井社長
…私は、もう少しだけ考え事をしているよ。この子がいる以上、きみが懸念する事はないさ。
黒井社長
…百合子、それにセレビィ。すまなかった。
七尾百合子
……はい。
(台詞数: 43)