望月杏奈
昔々、七尾百合子という読書が大好きな文学少女がいました。
望月杏奈
百合子さんは、毎日家の近くにある泉の近くで読書をして、のんびりと暮らしていました。
望月杏奈
そんなある日、百合子さんは誤って大事な本を泉の中に落としてしまいました。
七尾百合子
どうしよう。お母さんがプレゼントしてくれた、大切な本なのに…。
望月杏奈
その時、突然泉が光だし、泉の中から女の子が浮かび上がってきました。
ロコ
ロコは泉の女神ロコです。ガールよ。貴女が落としたのは話題のサスペンスノベルですか?
ロコ
それとも、ヤングに人気のラブストーリーですか?
七尾百合子
えっ…どちらでもありません!お母さんがくれた、古い童話集です!
ロコ
エクセレント!オネストなガールには全部プレゼントしちゃいます!
望月杏奈
そう言うと、女神様は3冊の本を百合子さんに手渡し、泉に戻ってしまいました。
七尾百合子
……可愛い。
望月杏奈
一目惚れでした。
望月杏奈
それから百合子さんは、毎日毎日様々なものを泉に物を落とすようになりました。
望月杏奈
その度に女神様は泉から出てきましたが、落し物を返してくれる事はありませんでした。
ロコ
しつこい人ですね!何度来ても、困っていない人に落し物は返しませんよ!
七尾百合子
いいの。私は女神様に会いたいだけだから。それより、女神様の事を教えてよ。
ロコ
……ロコには、話すようなメモリーはありません。
望月杏奈
何百年も生きてきた女神様ですが、泉を離れた事は一度もありませんでした。
望月杏奈
小さな泉の中が女神様にとっての全てで、そこでずっと独りで生きてきたのです。
七尾百合子
そっかー。じゃあ、私が外の世界の事、女神様に教えてあげる!
ロコ
えっ?
望月杏奈
それからというもの、百合子さんは泉に通っては、女神様に外の世界について話して聞かせました。
望月杏奈
時には地図や図鑑を見せ、遠い世界の風景や生き物について語りました。
望月杏奈
外の世界を知らない女神様にとって、それはとても不思議で、興味深い話ばかりでした。
ロコ
ワンダフルですねー…いいなぁ、外の世界。行ってみたいなぁ。
ロコ
でも、インポッシブルです。泉の女神は、泉の側を離れられないので。あはは…。
七尾百合子
女神様…。
望月杏奈
女神様に笑っていてほしい。そう思った百合子さんは、女神様が泉から出る方法を探し始めました。
望月杏奈
しかし、いくら調べても調べても、方法は見つかりません。
望月杏奈
調査に行き詰まる度に、女神様の辛そうな顔を思い出し、百合子さんは胸が張り裂けそうでした。
七尾百合子
……はぁ。
ロコ
そこのガール。何か落し物でもしましたか?
七尾百合子
私は落し物なんて…してないです。
ロコ
貴女はライアーですね。女神には全てお見通しですよ。
七尾百合子
…私、恋に落ちたんです。相手とは立場が違いすぎて、多分一生叶わない、そんな恋です。
七尾百合子
それでも、その人には笑って欲しくて、私でも何か力になれるんじゃないかって思って…。
七尾百合子
だけど、私はあの人を…女神様を悲しませるばかりで…私は…無力です…!
望月杏奈
その場で泣き崩れる百合子さんを、女神様は優しく抱きしめました。
ロコ
そんなことはありません。貴女はロコに、沢山の幸せをくれました。
ロコ
ロコの数百年の中で、貴女と過ごしたメモリーほど、ビューティフルなものはありません。
ロコ
ロコも、貴女とずっと一緒にいたい。…ずっとは無理かもしれないけれど、それでもです。
ロコ
だって…ロコも貴女が…ユリコが大好きだから!
七尾百合子
ロコ…ちゃん!
ロコ
ユリコ。貴女のオネストな告白、とても嬉しかったですよ。
ロコ
そんな貴女には、スペシャルなプレゼントをあげます。
望月杏奈
そう言うと、百合子さんと女神様は泉のほとりで、強く抱き合いました。
ロコ
ロコの全部、ユリコにあげます。
望月杏奈
こうして2人は永遠の愛を誓い、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
(台詞数: 48)