七尾百合子
皆さん、こんにちは。七尾百合子です。
望月杏奈
えと……杏奈、です。百合子さん、これは………?
七尾百合子
ここは精神と物質の狭間。本来存在しないはずの空間。
望月杏奈
え……?ここ……電気消した事務所………。
七尾百合子
杏奈ちゃん。シャラップ。
望月杏奈
あう………。
七尾百合子
……こほん。突然ですが、皆さんは「夢」を見たことはありますか?
七尾百合子
いえ、目標や希望の方ではなく、寝ている時に見る方です。
七尾百合子
人によって、あるいは日によって様々な夢を見ているはずです。
七尾百合子
「夢」は「現実」とは違う、その人だけの想像、妄想。
七尾百合子
あるいは「世界」とも言えます。
七尾百合子
皆さんは、こんな経験はありませんか?
七尾百合子
「まるで現実のような夢」を見、目覚めて困惑した……そんな経験、ありませんか?
七尾百合子
おそらく、そんな夢を見た日には皆さんはそれを笑い話にするでしょう。
七尾百合子
ですが、私は恐ろしく思います。
七尾百合子
なぜなら、そんな現実じみた夢を見れるのなら………
七尾百合子
「自分が現実だと思っている世界」が「本当の現実の世界」でない可能性があるじゃないですか?
七尾百合子
もし、自分にとっての現実が夢だとしたら?
七尾百合子
自分の存在すら、誰かの夢だとしたら?
七尾百合子
そしてその誰かが、夢から覚めてしまったら?
七尾百合子
夢の中の存在でしかない「自分」は、どこへ行くのでしょうか?
七尾百合子
今から話すのは、そんな「夢」と「現実」に翻弄される少女の物語。
七尾百合子
そして………あなたにも起こりうる、物語。
望月杏奈
………。
七尾百合子
………。
望月杏奈
……ねえ、百合子さん………。
望月杏奈
……どうして、杏奈は…呼ばれたの……?
七尾百合子
ちょ、ちょっとこういう話を1人でするのは怖くて……杏奈ちゃんがいてくれると安心するなって。
望月杏奈
………。
(台詞数: 29)