七尾百合子
「……この世に生を受けた奇跡に祝杯を。あなたに幾千幾万の星の加護が有りますように!」
望月杏奈
「百合…じゃなくて、lilyknightさん。これからも一緒に王都と世界を護ろうね。」
望月杏奈
「あと、レア装備のプレゼントも…ありがと、です。」
高木社長
……眼前の二人の少女は、わが765プロのアイドルだ。七尾百合子君と、望月杏奈君。
高木社長
年も近く、ゲームという共通の趣味もあるため仲が良いようだ。今もゲームに興じている。
高木社長
……使用していない会議室を占拠しているのは……まあ、大目に見よう。彼女達なりの配慮だろう。
高木社長
……
高木社長
……私もこの業界に長いが、アイドルとして研修生として、ひとりの人間を預かるのは難しい。
高木社長
もちろん我が社に利益を齎せられるかや、アイドルへの適性を見極めるのは大事だ。
高木社長
しかし、同様に重要なのは……いつかアイドルを卒業した時、『次』が見出せる娘か否かだ。
七尾百合子
百合子君と杏奈君。タイプが似ている娘だし、二人両方のファンという方も多い。
望月杏奈
……しかしだ。私の目からすれば、二人はそれぞれ、違う。
七尾百合子
……率直に言えば、百合子君にはアイドルとしての素質はさほど無いと思う。
七尾百合子
歌唱力もダンスのセンスも高くはないし、全てを凌駕できるルックスが有るわけでもない。
七尾百合子
……しかしだ。百合子君は『成りたい自分』を見つけてくることができる。
七尾百合子
演技には定評があるし、うまく導けばゆくゆくは女優の道も拓けるかもしれない。
七尾百合子
芸能界を去っても……堅実に進学し就職することも、大胆に作家を目指すことも出来るだろう。
望月杏奈
翻って杏奈君だ。彼女の魅力の一つは、彼女の言うところの『スイッチ』だろう。
望月杏奈
弾けるステージパフォーマンスは皆を惹きつける。それとギャップのあるオフモードの姿。
望月杏奈
両面を見せられるのは、得難い特徴だ。……なのだが。
望月杏奈
杏奈君は、なかなか『自分が成りたいもの』を見せてくれない。
望月杏奈
まだ打ち解けてなくて話したくないのか。自分の理想を言語化できないのか。目標自体、無いのか。
望月杏奈
……杏奈君の仕事は順調なだけに、彼女がなかなか語らないのは、不安要素だ。
望月杏奈
いつか、今まで通りのアイドルで居られなくなった時……杏奈君は、何に成るのか。
望月杏奈
『オンモード』で、ずっと貫けるとは思えない。あれはあくまで、ステージで『演じてる』姿だ。
七尾百合子
内気で、初対面では引っ込んでしまうが、本質的には明るい百合子君とは違い……
望月杏奈
……杏奈君は、まだまだ心の内側を開けてくれないのかもしれない。
望月杏奈
『オンモード』の姿が、本質なのか。『成りたい自分』なのか。はたまた演じているだけなのか。
七尾百合子
本で読んだものでも空想の産物でも、何かのイメージは伝えて来る百合子君。
望月杏奈
歌、ゲーム、可愛いものと、『好きなもの』は語っても、自分の事はなかなか語れない杏奈君。
七尾百合子
『アリス』と『うさぎ』。仕事を重ねて二人に付いたハマり役だが……
望月杏奈
……芸能界、いや、この世界そのもので迷っているのは、『うさぎ』のほうの様子だ。
望月杏奈
……杏奈君が、芸能界でやっていくか、芸能界以外で生きるか、アイドル『しか』できないのか。
望月杏奈
……その結論は……
高木社長
……その結論は……。プロデューサーであるキミと、杏奈君自身が二人で探すしかないだろうね。
高木社長
……キミ。不思議渦巻くこの世界で、うさぎを旅の終わりまで導いてあげてくれないかね。
(台詞数: 36)