矢吹可奈
なんとか着いたね。――うわっとと!?
北沢志保
戦艦が、傾いている…?このままだと墜落するわ!司令室は機能していないの…!?
矢吹可奈
行ってみればわかるよ!急ごう!!
望月杏奈
……おかえり。
矢吹可奈
あ、ドクターアンナ!無事だったんですね!?よかった…。
北沢志保
早速ですが、状況を聞かせてください。今ここで何が起こっているんですか?
望月杏奈
私にもよくわからないんだ。今から司令室に行って聞きに行こうとしてたところ。
北沢志保
そうなんですか…。それで、他のみんなは?
望月杏奈
さあ。たぶん司令室に集まってるんじゃない?まあ行ってみればわかるよ。
北沢志保
…そうですね。では急ぎましょう。隊長も早く……
矢吹可奈
………。
北沢志保
…隊長?どうしたんですか?立ち止まっている時間はありません。このままだと墜落して…
矢吹可奈
ドクター。…ひとつ聞いてもいいですか?
望月杏奈
……なに?
矢吹可奈
どうして、ドクターはこんなところまで来たんですか?今にも船が墜落しそうなのに。
望月杏奈
――ッ!!
北沢志保
言われてみれば、確かに…。司令室に行くつもりだったのなら、ここに来るのは回り道になる…。
望月杏奈
さ、サタケ艦長が今出かけてるんだよ。だから、ひょっとしたら戻って来てるかもしれないなって。
矢吹可奈
えっ…?艦長、今いないんですか…!?
望月杏奈
そ、そうそう。ハコザキ中尉が代理で指揮してたんだけど、なんかウイルスが入ったみたいで。
望月杏奈
こっちの命令を受け付けなくなっちゃったんだ。私一人じゃどうにもならないから、艦長の帰りを…
北沢志保
ま、待ってください。一人って、ドクターロコはどうしたんですか?
望月杏奈
あー、えっと…。それが、ロコと私でもどうにもならなかったの。だから……
矢吹可奈
だから、諦めて艦長の帰りを待って指示を仰ごうとした…と?
望月杏奈
うん、まあそんな感じ。でもヤブキ中尉たちが戻ってきてくれてよかったよ。早く司令室に…
矢吹可奈
あなたは誰?
北沢志保
……えっ?
望月杏奈
…な、何言ってるの?私は私、ドクターアンナだよ。
矢吹可奈
3つ、教えてあげる。まず1つ目、ドクターアンナは普段そんなにハキハキ喋らない。
望月杏奈
……っ!
矢吹可奈
発明品を完成させた時は別だけどね。2つ目、ドクターアンナは自分のことを「私」って呼ばない。
北沢志保
…言われてみれば。そうだ、ドクターはいつも自分のことを「アンナ」と名前で呼んでいた…!
望月杏奈
………。
矢吹可奈
3つ目。…ドクターアンナは、絶対に最後まで諦めない。どうにもならないなんて諦めたりしない。
矢吹可奈
ましてや、自分ができないことを人に押し付けるなんてことは、絶対にしない人だよ…!
望月杏奈
『ザザッ……ザー……こちら、開発…室…。艦内の…クルー全員に…通達……』
望月杏奈
『今、艦内の何処かに…アンナと、見た目がそっくりの…敵が…いる……!』
望月杏奈
『気を、つけて…!危険な薬品、持ってる…から……!繰り、返す…。現在、艦内に――』
北沢志保
………!!
望月杏奈
………。
矢吹可奈
…もう一度聞くよ。
矢吹可奈
――あなたは、誰?
望月杏奈
……最悪。ほんと最悪。あーあ、テンション下がるなー…。
望月杏奈
殺したはずのヤツに全部ネタばらしされるなんて、ほんっと…最悪の極みだよッ!!
北沢志保
動くな!少しでも動いたら…ッ!
望月杏奈
その言葉はもう聞き飽きたんだよッ!!もういい、小細工は無しだ。ここで殺してやるッ!!
北沢志保
――ッ!?消えた…?
矢吹可奈
シホちゃん、走って!逃げるよッ!!
北沢志保
え、あ…ちょっと、隊長!?
望月杏奈
(ククッ、逃げろ逃げろ。走り疲れた相手の首筋にたった一撃。それで死ぬ。それで終わりだ…!)
(台詞数: 50)