82:川っ縁旅行記の歌、鉛の飛行船版
BGM
GO MY WAY!!
脚本家
concentration
投稿日時
2014-12-12 03:17:43

脚本家コメント
作:ロバート・ジョンソン
「Travelling Riverside Blues」
レッド・ツェッペリンの、1969年の演奏より。
今回の話は特に、自己満足の極みでしかない…。
白い目で見られるのは、覚悟の上でござんす。
そしてクロ様とラムー様に、ありったけの感謝を。

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ジュリア
【あまりの観客の沸きように、少女達は明らかに動揺していた。】
松田亜利沙
【恐らく、これ程に興の乗った観衆を前に演じた経験など無いのだろう。】
望月杏奈
【自分の挙動全てに衆目が集まる様な錯覚。相応の場数を踏んでいても、】
望月杏奈
【重く、深く、平常心を揺さぶる。】
松田亜利沙
【その重圧に抗えるのは、】
ジュリア
【ただ、今日まで積み重ねてきた、練習だけ。】
松田亜利沙
【意を決したドラムスが、カウントを始める。】
ジュリア
【ギターの少女が、背筋を伸ばす。】
ジュリア
【その胸に抱えられた、傷だらけのストラトキャスターに、】
ジュリア
【ボトルネックを填めた左手を添え、徐々に鎮まりゆく店内の空気の中、】
ジュリア
【一気呵成に、六弦を掻き鳴らす。】
ジュリア
【盛大に響く、クリアトーンのスライドギター。】
ジュリア
【しかしその派手な音色と裏腹に、少女の運指はあくまで丁寧に、丁寧に。】
ジュリア
【『スライドギターは三割増し。』熟練が奏でれば素晴らしい音色を紡ぎ出すが、】
ジュリア
【ミスをすれば、それも三割増しで耳障りとなる。】
ジュリア
【一見粗雑に見える少女が、全神経を集中しているのが伝わってくる。】
ジュリア
【彼女の師が、彼女の内面、本質を理解し足ればこそであろうか。】
ジュリア
【その師の片割れの、銀髪の方がバッキングリフに入り、少女の音色を、増幅させる。】
松田亜利沙
【ドラミングが加わり、】
望月杏奈
【ベースが入り、和音となって、音がはぜる。】
望月杏奈
【先程奇跡の歌を披露した少女も、この曲では傍役に回る。】
松田亜利沙
【軽く歌い流し、演奏の引き立てに徹する。】
ジュリア
【この曲の主役は、あくまで彼女達の演奏だ。】
望月杏奈
【しかしそれ故に、演奏ミスが有ると……】
望月杏奈
『あ、やば……、遅れそう……。』
松田亜利沙
『大丈夫ですよ杏奈ちゃん、一旦切って、ありさの方を見て下さい!』
ジュリア
『心配すんな、タカネが一音下げてカバーしてくれてる。』
松田亜利沙
『はい、ここで入り直して!』
望月杏奈
『………、戻ったよ!』
望月杏奈
【どうやらメンバー中唯一の初心者であるらしい彼女のミスは、予定調和なのだろう。】
松田亜利沙
【息の合ったリカバーは、ミスに気付いた者にさえ、好印象を与えたのではないか。】
松田亜利沙
【盛り上がる演奏に、サックスソロが加わり、曲は一気にクライマックスへと……】
ジュリア
【終章のインプロヴィゼーション……】
望月杏奈
【演奏が終わり……】
ジュリア
【店内は、】
望月杏奈
【再び、】
松田亜利沙
【喝采に沸き上がった。】

(台詞数: 37)