ピースを繋いで… #7
BGM
空想文学少女
脚本家
ちゃん@春の日
投稿日時
2014-10-22 22:09:10

脚本家コメント
第七話「太陽に近づきすぎたものの末路」
出演 七尾百合子 望月杏奈 横山奈緒 佐竹美奈子
説明
杏奈の立ち絵はオンラインのアバターを意識したものです
気づいてるとは思いますが、時系列的には#3の杏奈のところに繋がります
お知らせを#6の脚本コメにのせているので、読んでいただけると助かります

コメントを残す
七尾百合子
「あまり長居すると迷惑をかけると思うから…」
七尾百合子
「私らそらそろいくわ、ほなまた遊びに来るなー♪」
七尾百合子
…二人はそう言い残すと病室を去ってしまった、取り残された私は、窓から二人の背中を見送った
七尾百合子
美奈子先輩と私は少し似ているのかもしれない、いや、似ているようで似ていないが正しいのかな
七尾百合子
私にはずっと美奈子先輩が泣いているようにはっきり見えた、笑顔の時も、普通の時も…
七尾百合子
それは美奈子先輩と同様に私も、見えない涙を流して泣いている、ということになる
七尾百合子
でも私の場合、涙腺なんてものはとっくに枯れてしまっているのだから泣いているはずがないのだ
七尾百合子
ならば私は美奈子先輩が心の中で叫び続けていたように、私も叫び続けているのだろうか…
七尾百合子
私の場合は叫んでいるというよりかは、心の中で嘆いているのかもしれない
七尾百合子
この世に対する絶望感と、自分に対する失望を嘆いているのだろう
七尾百合子
そういう意味では私は、美奈子先輩に近いのかもしれない、ただ決定的な違いがあるとすれば…
七尾百合子
美奈子先輩には『先』があって、私には『先』がなんてものはないのでしょう
七尾百合子
悩む時間も、色々な経験を積む時間も先輩にはこれから先いやになるほどたくさんある訳で…
七尾百合子
美奈子先輩には「先輩の知らない『未知』の世界がやって『来』る」文字通り、未来があるのだ
七尾百合子
だからこそ、美奈子先輩だけじゃなく、奈緒先輩の二人には幸せになってほしかった
七尾百合子
それと同時に私は二人の事を羨ましいと思わずにはいられなかった…
七尾百合子
私にはそう遠くない『未来』に『死』がやって来るのだから…
七尾百合子
家族や、お医者さんがそれを私に教えてくれないにしても、私自身の身体の状態なんてわかるものだ
七尾百合子
でもいくら私がそのうち来る『死』を受け入れたとしても
七尾百合子
目の前に迫り来る死の恐怖を払拭できるわけなんてない
七尾百合子
淋しさも相まって身体が自然と震えたりもするけど
七尾百合子
その度に私は二人が折ってくれた千羽鶴を見て平常を保つことができた
七尾百合子
ポジティブ…ポジティブっと!
七尾百合子
そんな私にも、唯一楽しみにしている日課がある、私は机の上に置いてあるノートPCを開いた
七尾百合子
それは夜の自由時間に三時間だけやることを許されたオンラインゲームをやる時間である
七尾百合子
病院の個室という限られたり空間、窮屈で狭い世界にいる私にとって
七尾百合子
このゲームの世界は楽園のようだ、アバターを通して見るこの世界は
七尾百合子
それこそリアルの全てを忘れさせてくれた、まるで翼をもらった気分になる
七尾百合子
神話で太陽に近づきすぎて溶けてしまった翼を手に入れたイカロスの気持ちも少しわかる気がする
七尾百合子
この世界にいる人は皆、リアルでの顔を知らない他人であるが故に、必要以上に干渉しない人と
七尾百合子
それこそリアルでできもしない馴れ合いを求める人に分かれる、私はどちらかといえば前者だった
七尾百合子
一応フレンドというシステムはあるんだけど、私は未だにフレンド0人…
七尾百合子
でも、あまりできるわけじゃないし仕方がないよね…
七尾百合子
気の許せるフレンドが一人くらい欲しい気もするのだけれど…そんなことを思い始めて暫く経った
七尾百合子
私が人気のない狩場でまったり狩りをしていると…一人のプレイヤーが影から私の事を…
望月杏奈
…じー
望月杏奈
望月杏奈
七尾百合子
じーっと見守っていた…(ちょっと恥ずかしいな)
七尾百合子
~それが私とうさちゃんの出会いだった~

(台詞数: 40)