望月杏奈
夏が去って、秋の季節がやってきた
望月杏奈
つい数週間前まで暑かった天気は嘘のように影を潜め、冬に向かって風が冷たくなりだした
望月杏奈
杏奈はいつも通っている通学路をぼーっと歩いていた、寝不足からなのか、瞼がやけに重い気がする
望月杏奈
学校に行く途中に大きな病院があるんだけど…
望月杏奈
杏奈ね…それを見ると、もうすぐ学校に着くんだって、ちょっと憂鬱になる…
望月杏奈
前方の方で合唱部の子達が談笑してるのが聞こえるけど杏奈の興味の無い話だから雑音でしかない
望月杏奈
バタン!…
望月杏奈
きゃっ…
望月杏奈
…後ろから走ってきた人にぶつかられて杏奈はびっくりして鞄を落としてしまった
望月杏奈
「ほんまごめんなさい!私、今めちゃめちゃ急いでて!」
望月杏奈
「はい、鞄!怪我とかしてへん?大丈夫?」
望月杏奈
あっ…はい…その…大丈夫…です…ありがとう…ございます
望月杏奈
「よかったー!ほな、私急いでるからいくな!」
望月杏奈
…杏奈の通っている学校の高等部の先輩と思われる人は杏奈に微笑むと走り去っていった
望月杏奈
杏奈ね…人と話すのが苦手で…目の前にすると何て話していいかわからなくなっちゃう
望月杏奈
だから杏奈は学校でもあまり喋らない…口数が少ないから、友達と呼べる存在も杏奈にはいない
望月杏奈
杏奈からしたら学校の先生もクラスメイトもただの他人という認識でしかない
望月杏奈
今日も杏奈は学校で必要なこと以外は、誰とも何も喋らなかった
望月杏奈
杏奈にとって学校は退屈で、ただいたずらに杏奈の時間を奪っていく場所でしかないから…
望月杏奈
はぁ…今日も疲れたな
望月杏奈
学校を終えて帰宅をする、杏奈は部活動はしていない、あえていうなら杏奈は帰宅部だ
望月杏奈
そんな杏奈にも唯一の楽しみが毎日ある、それがあるから杏奈は退屈な学校にも我慢できると思う
望月杏奈
杏奈の楽しみはネットゲーム、所謂世間一般にいうネトゲ
望月杏奈
杏奈にとっての1日のはじまりは学校から家に帰ってきて、PCの電源を入れた時にやっと始まる
望月杏奈
はじめは気晴らしに始めたネトゲの世界の虜に杏奈はいつの間にかなっていた
望月杏奈
だってこの仮想世界を杏奈は自由に回ることができて、現実ではできない体験がたくさんできるし
望月杏奈
杏奈はこの仮想世界にいる間は現実世界の嫌なことは全て忘れられるから…
望月杏奈
それに、人と話すのが苦手な杏奈でも、無愛想ながらお互いのリアルを知る由もない
望月杏奈
他のユーザーと他愛もない会話をするくらいできる
望月杏奈
会話といっても、キーボードを叩くだけだし、杏奈が声を出す訳じゃないから
望月杏奈
お互いの感情を面と向かってぶつけ合うわけではないし、簡単なことだった
望月杏奈
まあ杏奈ね…基本的にソロプレイしかしないんだけどね…
望月杏奈
杏奈にとってはリアルでの生活自体が仮の姿で
望月杏奈
この仮想世界で過ごしている時間こそがリアルになってる
望月杏奈
そう感じざるを得なかった
望月杏奈
今宵も杏奈は自分にとってのリアルワールドに足を踏み入れてた
望月杏奈
この仮想世界にいる間が唯一、杏奈はこの世界のピース(一部)なんだと実感することができる
望月杏奈
リアルではこんな事感じれない、リアルでの杏奈はいないも同然、亡霊なんだから…
望月杏奈
~vivid_rabbitがオンラインになりました~
(台詞数: 39)