望月杏奈
『何日か経った、晴れた朝のことです。』
望月杏奈
『ぽぽは、精一杯の力を込めて、立ち上がりました。』
望月杏奈
『ぽぽの黄色かった花びらは、たくさんの綿毛になっていました。』
望月杏奈
シロが戻ってこないの…、ここに戻れないから……だと思う。
望月杏奈
だから……、ぽぽがシロのところに行こう。
望月杏奈
さぁ……、
望月杏奈
さぁ……、今だ!
望月杏奈
『ぽぽは、思いきり息を吸い込み、胸を張りました。』
望月杏奈
海のそばにいけば…、きっとシロに会える。
望月杏奈
『そして、1つの綿毛を握り、海へ向かう風に乗って、飛び立ちました。』
望月杏奈
たん たん たんぽぽ ぽっぽっぽ♪
望月杏奈
かぜ かぜ ぽぽを つれてって♪
望月杏奈
『綿毛に乗ったぽぽは、山を越え、丘を越え、飛んでいきます。』
望月杏奈
たん たん たんぽぽ ぽっぽっぽ♪
望月杏奈
シロの いる うみのちかく つれてって♪
望月杏奈
『風に乗り、空から眺める町並みは、とても素敵です。』
望月杏奈
『ですが、ぽぽはそれを楽しむより、シロに会いたい一心で海を目指します。』
望月杏奈
…………
望月杏奈
ぽぽは、海の見える野原に着きました。
望月杏奈
どうかシロに会えますように……。
望月杏奈
『そう思いながら、ぽぽは眠りにつきました。』
望月杏奈
『暑い夏が過ぎ、紅葉が綺麗な秋が過ぎて、』
望月杏奈
『草がすっかり枯れてしまっても、ぽぽは土の布団の下で眠っていました。』
望月杏奈
『やがて雪が静かに野原を覆っていき、辺りは真っ白になっていきます。』
望月杏奈
『雪が溶け、青々とした野原で、またシロと一緒にお話することを夢みながら……。』
望月杏奈
『その5につづく。』
(台詞数: 26)