ロコ
むむむ・・・
横山奈緒
あ、ロコ。やっぱしここにおったか。小鳥さんが探しとったで?
ロコ
はい・・・奈緒さん。ありがとうございます。
ロコ
でも、ごめんなさい。今、手が離せなくって・・・。
横山奈緒
ほな、小鳥さんにもそう伝えとくわー
横山奈緒
って!!ちょい待ちぃ!
横山奈緒
その、喋り方・・・。なんかおかしないか?変なもんでも食うたか?
ロコ
あの・・・・・ちょっと・・・待ってくださいね
ロコ
今、ものすごく、いいとこなんです・・・
ロコ
(ぐっ・・・ぐぐぐぐ・・・)んっ!
ロコ
・・・・・・ふぃ
ロコ
・・・・・・うん。いい感じです。
ロコ
あの・・・奈緒さん
横山奈緒
な、なんやなんや?
ロコ
この絵・・・どう思いますか?
横山奈緒
んー、白い背景に力強い黒の一本線・・・芸術はようわからんわ
横山奈緒
木にも見えるような、道にも見えるような・・・
横山奈緒
でもここから、ロコお得意のデコデコハデレーションがついて華やかになるんやろ?
ロコ
いえ、やりません。
横山奈緒
へ?・・・あの、いつものマーベラスでサプライジングなイミテーションとか
ロコ
ありません。・・・この作品はここで完成です。
横山奈緒
えぇ!これで終わりて!ホンマに!ホンマにどしたんやロコ!
ロコ
わたしの作品・・・奈緒さんの言う通り・・・色んなものを付け加えたり組み合わせたりでした
ロコ
でも、ある芸術の先生が言ってたんです
ロコ
「芸術は引き算だ」って
横山奈緒
引き・・・算?
ロコ
足せば足すほど、余計なんです・・・無駄なんです
ロコ
詰め込んで詰め込んで・・・本当に大事なこと、逆に伝わらなくなるんです
ロコ
わたし、はっとしました
ロコ
今まで、とにかくスペースが空いていることが不安で不安で
ロコ
なんでもいいから埋めなくちゃ、繋げなくちゃ・・・って思ってたんです
ロコ
そんな作品が、人の心を動かすはずがないんです・・・
ロコ
だから・・・まず「自分らしさ」・・・を引いてみました
ロコ
あの、奈緒さん・・・言葉遣いが違えば・・・わたしは、わたしではなくなりますか?
横山奈緒
そんなことは無い!喋り方ひとつで、ロコがロコでなくなってたまるかって!
ロコ
ありがとうございます!その言葉・・・凄く嬉しいです。
ロコ
こうして「私らしさ」を引いたおかげでしょうか?わたし、いま本当に
ロコ
自分と・・・自分の作品について、今まで見えなかったものが見える気がするんです
ロコ
これが正解なのかどうか・・・正直わかりません。プロデューサーにも相談しました・・・
ロコ
そしたらプロデューサーも一緒に悩んでくれて
ロコ
・・・「時間」をくれました
横山奈緒
時間て?
ロコ
「私らしさ」も「アイドルである私」も引き算して
ロコ
とにかく作品を作り続ける。そんな「時間」をくれました
ロコ
わたしが私であるために、自分と向き合う「時間」をくれました・・・
ロコ
その時までに・・・わたしは、答えを出す。そう約束したんです。
ロコ
おそらく、奈緒さん達にはたくさん迷惑をかけます
ロコ
ごめんなさい。・・・でも、やらせて下さい
横山奈緒
(その時のロコの瞳を見て、言おうと思ったこと沢山あったのに)
横山奈緒
(どんな言葉も蛇足になってしまう気がして・・・私はただ、頷く事しかできなかったのだった)
(台詞数: 50)