
黒井社長
──これは少女達が出会い、営み、導いた“可能性”。その誕生秘話である──

ロコ
…シット!所詮はパンケーキなのですね!

黒井社長
そう吐き捨てた言葉は、パンケーキにゆっくりと生地を押し潰すような苦痛を与えた

黒井社長
パンケーキの良さは包容力。蜂蜜やバターだけでなく、黒蜜やきな粉ですら受容する

黒井社長
ピザをも越えるキャパシティ。まるく納める、キャパシティの権化だ

黒井社長
しかし──それは諸刃の剣だった

黒井社長
ロコは苦労した。苺を濾し桃を芸術的に乗せたが、それはパンケーキの域を脱しなかった

黒井社長
パンケーキの置き方も工夫した。分割数、角度向き、それぞれを考慮した

黒井社長
あえて断面を見せる“御開帳”

黒井社長
ハーフサイズを縦置きにする”山脈“

黒井社長
夢心地のまま切ってしまった“100人切り”…

黒井社長
様々な手法が生まれた。しかし、いかに挑戦しようともパンケーキの向こう側へ行けない

黒井社長
──ここに、パンケーキがパンケーキであるがゆえに絶望した伴田が一人。

黒井社長
厨房でストレスのあまり自分のロコを取りだしロコナイズ(隠喩)することも多々あった

黒井社長
今ロコは荒ぶっていた。パンケーキがパンケーキである怒り、憤り、無情によって。

黒井社長
芸術の最中に感情が爆発し、フィニッシュを迎えた。虚ろな目でパンケーキを見ている

黒井社長
ゆるやかな手付きでパンケーキを手に取り、軽く折る

黒井社長
芸術家として経験を積んだロコにとって、傷をつけずパンケーキを折ることなど容易い

黒井社長
そして、別の意味のロコナイズ(隠喩)もまたプロ級。ノンストップで右手が動く

黒井社長
そして感情がクライマックスを迎えたとき、両手はしかるべき動きで連携した

黒井社長
そう、一品の完成である

黒井社長
己の為した風景を見ると、例の虚無感ではなく感動が沸き上がってきた。

黒井社長
眼前にあるのは、既にパンケーキではなかった

ロコ
これは……!これこそは……!

黒井社長
答えが能天をインヴィンシブルジャスティスした瞬間、厨房のドアが開く

七尾百合子
……っ!?

黒井社長
─同僚の空想文学少女が居た。目があった。それはもう、ばっちりと

黒井社長
ロコはまだロコナイズ(隠喩)の後片付けができていない。有り体に言えば丸出しである

黒井社長
ロコは乱暴に踵を返し、引き締まった表情で去っていった

黒井社長
──ロコが去った後、百合子は動揺していた。ロコのしていた行為は想像がつく

黒井社長
気まずい場面に立ち会ったことも分かる。だがそれ以上に、ロコの“芸術”が気になった

黒井社長
戻りたい欲望と、去らなくてはいけない理性。

黒井社長
感情の板挟みに陥った百合子は、片栗粉を手離し泣き出した

黒井社長
涙は頬を伝って滴り落ちる。それを受け入れるのは床に落ちた片栗粉である

黒井社長
わずかに水気を含んだそれを見たとき、彼女の感情は降りきられた。行くしかあるまい

黒井社長
──見られたロコにとって、一大事なのは目の前のパンケーキでないパンケーキだ

黒井社長
今のままでは芸術とは呼べない。その一因はソース(隠喩)の品質維持にある

黒井社長
ソースは劣化しやすく、保存に向かない。生産者の気分に左右されやすいのも問題だった

黒井社長
──しかし、ロコの目は絶望していない

黒井社長
いかなる問題があろうと、理想が見えたのだから進むだけだ 。強靭な精神が垣間見えた

黒井社長
そんなロコの決意を支えるように、一度去った百合子が戻ってきた。手に持つのは片栗粉

黒井社長
彼女は片栗粉に気づかされたのだ。片栗粉が主張し続けていた片栗粉の魅力に。

七尾百合子
あの……ロコちゃんの芸術に、これを使って下さい!

黒井社長
百合子が示したのは協同であった。同じ道を目指す身。相手の弱点を見抜き、解決案を渡す

黒井社長
この二人が再び目を会わせたとき、後世に残る“芸術”が産声をあげた

黒井社長
──後に、二人はこう語る

ロコ
ユリコ!パンケーキでも食べませんか?

七尾百合子
はい!でも、ただの製品じゃ嫌です……

七尾百合子
あの時のロコちゃんの“試作品”……あれを私に食べさせてくれませんか?

黒井社長
この後めちゃくちゃロコナイズ(隠喩)した。
(台詞数: 50)