永吉昴
あーっ!悔しい!
ロコ
見事なアーチラインでしたね。ホームランアーティストというミーンが、分かった気がします!
永吉昴
ロコ……オレが打たれたんだぞ。喜びすぎだろ。
ジュリア
あたしも野球はよく知らないけど、あっという間に客席まで飛んだな。
ジュリア
あたしの投げるピックも、あんなに飛んだら楽しいだろうな……
永吉昴
ジュリアも乗るなよ……オレ、結構ショックだったんだぜ。
永吉昴
プロデューサーが気を利かせて、始球式を一球投げるだけじゃなくて……
永吉昴
一打席真剣勝負にしてくれたんだぜ。それなら、プロを打ち取りたいわけだよ。
永吉昴
1球目は、外角低めストレート。コースが決まれば、絶対長打させない球だ。
ロコ
スタジアムのオーディエンスから、すごくクラップが上がりましたね!
永吉昴
で、2球目は、「まさか始球式で、素人が投げるはずがない」インハイストレート。
永吉昴
それで「起こして」から、決め球のスライダーを外角低めに投げれば、空振りが取れる。
ジュリア
起こすって、あの選手バッターボックスで居眠りしてたのか?失礼な奴だな。
永吉昴
……いや、「起こす」ってのは野球での表現だから。あまりそこに突っかかるなよ。
ロコ
バット、スバルがホームランされたのは、セカンドボールでしたよね?
永吉昴
……読まれてたんだ。そこに投げるって。そうに違いないぜ。
ジュリア
……
ジュリア
スバル、あたしは野球は知らないが、今回はそんな読み合いなんて次元の高い話じゃないと思うぞ。
ジュリア
単純に、昴の力不足だろ。プロとスバルとじゃレベルが違う。それは認めるべきだぞ。
永吉昴
……キツイこと言うなあ。オレ、今日誕生日なんだぜ。
ジュリア
いや、今回はハッキリ言わせてもらうよ。相手とは力の差が有る。それを自覚した上で……
ジュリア
あの「真剣勝負」では、全球、自分の一番いい球を投げるべきじゃなかったのか?
ロコ
ジュリア……
ジュリア
強い相手に全力でぶつかって、それで負けるなら仕方ない。次に勝つために自分を磨けばいい。
ジュリア
中途半端に「賢い」やり方をして、結果勝ったとして、そのあとに何が残る?
ジュリア
スバルはいま野球選手じゃない。野球の読み合い上手くなるより、得るべきものが有るかも、だぜ。
ロコ
あの……ロコも、スバルがスマイルしてないのが、ディスライクでした。
ロコ
ファーストボールがオベーション受けてたのに、すごくドライでした。
ロコ
いつものスバルのピッチングは、もっとコンフィデンスに溢れてますよ。
永吉昴
ロコ……
ロコ
次のチャンスには、いつものスバルが見たいです。それはビューティフルで、アートですよ。
ジュリア
じゃあな。あたし、ライブが近いから、そろそろ帰るぜ。
永吉昴
おい、野球最後まで見ていかないのか?せっかくの特別席なんだぜ。
ジュリア
野球は知らないって言ってるだろ。プロデューサーと楽しんでいなよ。
ロコ
ロコもゴーホームします。さっきのアーチライン、ロコのインスピレーションを掻き立てるので!
永吉昴
……二人とも帰っちまった。付き合い悪いな。
永吉昴
でも、さっきの二人の話は堪えたよ。しっかり見てんだな。
永吉昴
ジュリアもロコも、音楽やアートでもう一軍級の力が有る。
永吉昴
だからこそ、まだ半端なオレのことが見えるのかな……
永吉昴
……よし!これからはオレ、仕事で中途半端に賢くなるのはやめるぜ。まずは全力投球だ!
永吉昴
……
永吉昴
ところでさ。プロ野球選手って、女子アナと結婚すること多いよな。出会いが無いとか言って。
永吉昴
アイドルって、将来誰と結婚するのかな。業界人かな。プロデューサー……とか。
(台詞数: 43)