二階堂千鶴
【十二年前】
ロコ
タカネはまだカムヒアー出来ないですか?(なでなで。わおん)
二階堂千鶴
……あのお馬鹿さんは、外語と理系の全科目赤点ですから、日が暮れるまで補習ですわ。
ロコ
タカネはどうやってチヅルと同じハイスクールに入れたですか。(さすりさすり。きゅう～ん)
二階堂千鶴
そ、それは決して解ける事の無い謎ですわ……。
ロコ
やっぱり、四条ファミリーのプリンセスだからですか?
二階堂千鶴
確かにウチの学校は結構なお嬢様校ですから、四条家の令嬢ななれば、そうかも知れませんわね。
ロコ
じゃあやっぱり、チヅルもハイソサイエティの箱入りレディだったですか?
二階堂千鶴
あ、いえ、私はしがない肉屋の娘ですわ……。
ロコ
(ぺろぺろぺろ)ひゃはは、ジュニオール、そんなにペロペロしたらノーですよ!
二階堂千鶴
あらあら、すっかり姉弟仲良しですわね。
ロコ
え、ロコとジュニオールが姉弟、ですか?(ふんふんふん)
二階堂千鶴
だってほら、弟がこんなに尻尾を振って甘えてますわよ?
ロコ
きょうだい……じゃあ、チヅルがロコ達のママさんですか?
二階堂千鶴
高校一年生にして、二児の母親!?
二階堂千鶴
そ、その様なショッキングな仮定話は結構ですから、手を洗ってらっしゃいな。
二階堂千鶴
そろそろお昼御飯に致しましょう。コロッケとお味噌汁を温め直しますわ。
ロコ
じゃあ、ジュニオールのランチはロコがサーブします!(おん)
二階堂千鶴
(ぐつぐつ、じゅじゅー)
ロコ
(かりかり、かじかじ、しっぽふりふり、ふんふんふん)
二階堂千鶴
(ぱくぱく)そういえばロコちゃん、今お描きになっている絵は何を題材にしてらっしゃるの?
ロコ
(もぐもぐ)はへはほくにもひーふは
二階堂千鶴
あああ、口の中に頬張ったまま喋らなくても結構ですから。
ロコ
(ごっくん)あれは特にモチーフはナッシングですよ。
ロコ
ロコのフィーリングのままにフリーペインティングしたらどんなアートが生まれるのか、
ロコ
言うなればプラクティカルロコアートです。
二階堂千鶴
そ、それであんなサイケデリックな色調なのですわね。
二階堂千鶴
……やはり貴方も、少々ぶっ飛んでますわね。
二階堂千鶴
まあ天才というのは、往々にして常識外れなものですわね。
ロコ
……?ロコはジーニアスとかじゃありませんよ。
ロコ
ワールドワイドには、グレートアーティストがソーマッチいますが……、
ロコ
ロコはセンス無いです。デッサンとか苦手で、ハードワークでプラクティスしても上達しません。
二階堂千鶴
でも貴方、あれを全て独学でやっているのでしょう?情熱も才能ですわよ?
ロコ
……ロコはホビーでやってるだけですから。
ロコ
別に、プロフェッショナルなアーティストを目指してる訳でもないです……。
二階堂千鶴
そうなのですか?勿体無い……。まあ私が口出しする筋合いでは無いのかも知れませんが……。
ロコ
………………。
二階堂千鶴
な、何ですのロコちゃん?私の顔に御飯粒でも付いておりますの?
ロコ
……チヅルの目、キラキラしてビューティフルです。
ロコ
まるでお日さま、シャイニーサンみたいですね。
二階堂千鶴
あ?え?あ、有難うですわ?
二階堂千鶴
ですが、ロコちゃんの目は、私などよりもっと美しく輝いてますわよ?
ロコ
う、そ、そんなことは、ナッシングですよ……。
二階堂千鶴
(彼女の瞳に見つめられていると、)
二階堂千鶴
(不思議な思いが、頭をよぎった。)
二階堂千鶴
(まるで、父と母の瞳に見つめられている様だと。)
二階堂千鶴
(ひょっとしたら……、)
二階堂千鶴
(幼くして両親を失った、可哀想なこの少女も……、)
二階堂千鶴
(見つめる私の目の中に、)
二階堂千鶴
(亡き父母の瞳を、感じているのだろうかと……。)
(台詞数: 50)