七尾百合子
人は誰もが心の中に百合子を飼っている。
七尾百合子
百合子はあなたが見た事、聞いた事、読んだ事を一緒に見て詩を綴る一人の詩人だ
七尾百合子
『私、この流れを一度体験したような…!まさか世界はループしている…?』
七尾百合子
『流石はーーーさんです!もしや貴方は伝説の勇者では…?』
七尾百合子
彼女の詩はどれも荒唐無稽で飛躍した世界の綴ったもの、現実にはありえない空想…
七尾百合子
でも、空想だからこそ彼女の詩は世界を飛び越えてどこまでも飛んでいく…
七尾百合子
貴方は時に耳を傾け、時に鼻で笑い、時に心を揺さぶられていたはずだ…
七尾百合子
『ーーーさん!ーーーさんってば!聞いてますか?』
七尾百合子
『今は忙しいって…一週間くらいずっとそう言ってますよ?』
七尾百合子
あなたが大人に変わった時、百合子との付き合い方もまた変わってくるだろう…
七尾百合子
一つは百合子を手なづける者、彼女の空想の翼に手綱をつけ、他の人が理解できる形に整える…
七尾百合子
『いたた…そんなにほっぺ引っ張らないでくださいってば!伸びちゃいますよ…』
七尾百合子
あるいは詩では無い形で空想を作品に昇華させる者もいるだろう…絵や彫像など、形は様々だ。
七尾百合子
『ロコ!この話のキモはこれからで…ちょっと!寝ちゃダメだよ!』
七尾百合子
またある者は過去に百合子と同調した事を恥じ、過剰に抑えようとするだろう…
七尾百合子
『痛い!痛いですって!そんなに強くほっぺ引っ張らないでください!』
七尾百合子
『もう…でも、本当はーーーさんも同士だって知ってるんですよ?』
七尾百合子
『また語らえる日が来るまで、私は本を読んで待ってますからね…』
七尾百合子
そして、そうでは無い大半の人は…
七尾百合子
『ーーーさん、何年も全然話を聞いてくれないなぁ…』
七尾百合子
忙しい日々に飲まれていつしか百合子の声が聞こえなくなって来る…
七尾百合子
そして、ふとした事で感動を思い出し、心の中を覗いた時に気づくのだ…
七尾百合子
『………………』
七尾百合子
あれ程騒がしく空想を語っていた彼女が心から旅立っていた事に…
七尾百合子
その感動が失われる事は無い、しかし、心から離れた彼女が自由な詩を紡ぐ事はもう無いのだ…
七尾百合子
人は誰もが心に百合子を飼っていた
七尾百合子
…大抵の人は大人になるとはそう言う事だと一抹の寂しさと共に納得するだろう。
七尾百合子
……でも、本当にそうだろうか?もしかしたらひょっこりと顔を出すかもしれない
七尾百合子
感動が消えないように、それを詩に紡ぐ心も消える事は無いはずだから。
七尾百合子
あなたが、感動を思い出したなら…
七尾百合子
『……はっ!本に夢中でーーーさんの声に気付きませんでした!ーーーさん!ーーーさーん!』
(台詞数: 31)