吸血鬼になった少女 23話
BGM
透明なプロローグ
脚本家
れみす
投稿日時
2017-08-12 21:43:14

脚本家コメント
第23話「私の願い」
アンに身を委ねたユリだったが、アンの想いは揺れていた。
大好きなユリ、大嫌いな吸血鬼…二つの想いがアンの心を大きく揺さぶり、ユリに想いを託してその場を去るようにお願いしたのだった。
NEXT→「ユリと蓮花」

コメントを残す
黒井社長
『来たか。』
七尾百合子
まるで私がここに来ることをわかっていたかのように待っていたのはPさんだった。
七尾百合子
焼かれたであろうと思われた背中はいつの間にか元通りになっていた。
七尾百合子
「あなたは…一体何者なんですか?」
七尾百合子
最初から謎だった。なぜ私のもとを訪ねて、なぜ私に協力して…
七尾百合子
わかってることは私の願いを叶えるためにやってきたということだけ。
黒井社長
『それはな、ユリが本当のことを知った時に話してあげよう。』
七尾百合子
「……約束ですよ。」
七尾百合子
私は今、アンちゃんに言われた部屋の前にいる。
七尾百合子
私が近づくと頭が痛くなるあの部屋…ここに本当の私があるんだ。
七尾百合子
扉に手をかけようとする。が…
七尾百合子
「(ズキッ)あああああ!!!」
七尾百合子
頭が割れるように痛い。
七尾百合子
でも…私は前に進むしかないんだ!
七尾百合子
「(ググッ)お前なんかに…私は屈したりなんかしない!」
七尾百合子
激痛に耐えながらも私は扉を開け、中に入っていった。
七尾百合子
その部屋は、私が思っていたのとは違っていた。
七尾百合子
アンちゃんが掃除をしてくれたおかげか、綺麗になっている。
七尾百合子
そして…懐かしい思いがする書斎だ。
七尾百合子
たくさんの本が散らばっている…どうやらアンちゃんはなるべくそのままの形を残していたらしい。
七尾百合子
【これが私の物語】【私の中に眠る秘宝】【星の樹の秘密】
七尾百合子
どれも初めて見るような本なのに…私はこれらを知っている。
七尾百合子
そして私はとある一冊の本に目がいった。
七尾百合子
「【吸血鬼になった少女】これは…」
七尾百合子
そうだ…私は…この本…これらの本の作者だ…
七尾百合子
あの頃の私は…本を書くことに夢中になってたんだっけ…
七尾百合子
そうか…そうだった…私は、私という自分をみんなに知ってほしかったんだ。
七尾百合子
だから、その願いを叶えるために本を出すという形で頑張ってたんだ。
七尾百合子
でも、そのうち何が何だかわかんなくなったんだっけ…
七尾百合子
それで何もかも失った……
七尾百合子
それで何もかも失った……そう思い込んでしまったんだ。
七尾百合子
そう…思い込んでいただけ…本当は何も失ってなどいなかった。
七尾百合子
だって、こうして私の書斎、そして大切な本たちが今もこうして残っているのだから。
七尾百合子
でも…私の願いを思い出したところで…
七尾百合子
私は吸血鬼。その事実は変わりはしない。
黒井社長
『どうやら思い出したようだな。』
七尾百合子
「Pさん…でも私…」
黒井社長
『では改めて聞こうか、君の願いはなんだ?』
七尾百合子
「私の願い…それは…」
七尾百合子
「もう一度…人間に戻りたい!そして、アンちゃんと一緒に輝きたい!」
黒井社長
『本を世界に広める…その願いじゃなくていいのか?』
七尾百合子
「本のことも確かに好きです。でもそれは私を知ってもらいたかったという一つの手段でしたから」
七尾百合子
「それに、今はアンちゃんと一緒にユニットを組んでのお仕事が大好きだったので。」
黒井社長
『まあそれも全部知っているんだけどね。』
七尾百合子
「約束です。Pさん、あなたは一体何者なんですか?あなたも吸血鬼なんですか?」
黒井社長
『約束だからね、それに、もう隠す必要もないか。』
黒井社長
『私の名前は…』
黒井社長
『私の名前は…蓮花(れんか)』
黒井社長
『私の名前は…蓮花(れんか)。いや、ユリと言ったほうがいいか』
黒井社長
『そう、私は君自身から生まれたもう一人の君そのものだよ。』

(台詞数: 50)