七尾百合子
──後悔していますか?
天空橋朋花
何にでしょうか?
七尾百合子
数百年に渡って生きながらえたことに、です。
天空橋朋花
……どうでしょう。
天空橋朋花
確かに、疑問に思ったことはあります。
天空橋朋花
夢を思い描いても、すぐ現実に否定されてしまいますから。
天空橋朋花
そのたびに躓いて、転んで、立ち上がって……。
七尾百合子
……。
天空橋朋花
でも、いいんです。
天空橋朋花
あなたが、あの子たちが、幸せでいられるなら──
七尾百合子
本当に?
天空橋朋花
……。
七尾百合子
本当に、それで割り切れるんですか?
天空橋朋花
……。
天空橋朋花
……いいえ。
天空橋朋花
本音を言えば……もっと皆と遊びたかった。
天空橋朋花
沢山お話して、思い出を共有したかった。
天空橋朋花
独りは……辛いですから。
天空橋朋花
……そして。
天空橋朋花
母に似たあの人に……一言だけでも、お礼をしたかったですね。
七尾百合子
心残りがあるんですね。
天空橋朋花
まあ、多少。
七尾百合子
それなら“奇跡”を願いましょう。
天空橋朋花
奇跡?
七尾百合子
そうです。たった今、あなたの満たされたい心が確立させた“奇跡”。
七尾百合子
夢、諦めないで一緒に叶えましょう?
七尾百合子
夢は、叶えるためにあるんですから。
七尾百合子
────。
天空橋朋花
おや……。
高山紗代子
ふふ、王子様のキスは要らなかったみたいですね。
天空橋朋花
あの……なぜ、私は膝枕をされているのでしょう?
高山紗代子
あ、動かないでください。今髪を梳かしてる最中ですから。
天空橋朋花
はあ……。
高山紗代子
前から思ってましたけど……綺麗な髪ですよね。羨ましいな。
天空橋朋花
……おや? 紗代子さん、どことなく雰囲気が……。
高山紗代子
変わって見えます?
天空橋朋花
ええ。以前より大人びているように見受けられます。
高山紗代子
ふふ、嬉しいな。ちゃんと私のこと覚えててくれて。
天空橋朋花
それはどういう……。
高山紗代子
今日で、7年と6ヶ月半です。
天空橋朋花
……はい?
高山紗代子
あなたが眠ってから、今日までの日数ですよ。
天空橋朋花
──。
(台詞数: 43)