七尾百合子
「この私にアイドルをやれだって!?一体何を考えているんだ!」
七尾百合子
「大体私は吸血鬼なんだぞ!この羽は?この格好は?どうやって隠すっていうんだ!」
黒井社長
『隠す必要はない。吸血鬼アイドルとしていくつもりだ。』
七尾百合子
「はぁ!?正気なのか?この世界でどれだけ吸血鬼が嫌われているかわかっているのか?」
黒井社長
『確かに吸血鬼は嫌われている。だが、それも昔の話だ。』
七尾百合子
「……どういうことだ。」
黒井社長
『時代は変わりつつあるということだ。今は昔ほど嫌われていない。』
黒井社長
『というより吸血鬼の恐ろしさを知っている人が減っている…といったほうがいいか。』
黒井社長
『外の世界を知らないユリに教えておこう。君はずっと閉じこもっていたからわからないだろうが』
黒井社長
『君が吸血鬼になってからもう100年は経っているんだよ。』
七尾百合子
「なっ……」
七尾百合子
言葉が出なかった。当然だ、まさかそんなに時が流れているとは思わなかったからだ。
七尾百合子
何もすることなくただただ呆然としていただけなのに…時間の感覚もわからなくなっていたようだ。
黒井社長
『ちなみに吸血鬼アイドルといってもそういう格好をしているアイドルとして売り出すつもりだ。』
黒井社長
『認識が少なくなっているとはいえさすがに本物を世間に公表するわけにもいかないからな。』
七尾百合子
「ではなぜ吸血鬼アイドルなんだ。普通のアイドルでもいいだろう。」
黒井社長
『普通のアイドルだとさっき言ってた羽とか隠すのに手間がかかる。』
黒井社長
『それにいざ見つかったら何かと面倒だ。』
黒井社長
『何より吸血鬼だとインパクトがあるからな。上手くいけばすぐに上を狙える。』
七尾百合子
確かに一理ある。それにわざわざこの格好を隠したりしなくていいというのも悪くはない。
七尾百合子
だが……
七尾百合子
「どうしてアイドルなんだ?」
黒井社長
『………。』
七尾百合子
Pはしばらく黙っていた。何か言い訳でも考えてるのかと思ったが私の鼻が違うといっている。
七尾百合子
これは私の昔からの特技なのだが匂いで相手がどんなことを考えてるのか予想をつけることができる
七尾百合子
あくまで予想なだけであって本当に相手の思考が読み取れるわけではない。とにかくわかるのだ。
黒井社長
『……とある人との約束だからだ。』
七尾百合子
とある人?私の知っている人なのか?
七尾百合子
いや、そんなはずはない。私は常に一人で生きていた。……孤独だった。
七尾百合子
だからそんな人いるわけがない。でも……Pの言葉には嘘をついてるようには感じなかった。
七尾百合子
まぁいい、やってやろうじゃないか。こうなったらとことん付き合ってやる。
七尾百合子
そして見つけてやる。その約束の人物を。
七尾百合子
そして……私の願いというものを。
(台詞数: 33)