七尾百合子
彼女はどこまでも美しく完成されていた
七尾百合子
…私なんかが近寄るのを躊躇うほどに
七尾百合子
端正な顔立ち、抜群のプロポーション
七尾百合子
下手な人が着ると、着られている、ととられてしまいかねない服も華麗に着こなし
七尾百合子
どんな時も涼しい顔をしていた
七尾百合子
あまり私たちの輪に入ろうとせず、鈴のなるような声で一言二言言葉を交わすだけ
七尾百合子
高嶺の花、とは彼女のためにある言葉なのだろう
七尾百合子
歌は華麗で、ダンスも鮮やか。ビジュアルは言わずもがな
七尾百合子
欠点は見当たらず、憧れの目を無邪気に向けていた
七尾百合子
同じ人間とは思えず、高嶺の花を遠くから見上げていた
七尾百合子
あの日、愚直に背伸びをする、私の知る最も美しい彼女を見るまでは
篠宮可憐
私なんかに憧れの目線が向けられていたのは知っていた
篠宮可憐
なんの取り柄もない、私なんかに…
篠宮可憐
憧れに応えられるような人間ではない。完璧超人でも高嶺の花でもない
篠宮可憐
私はただの人。臆病で、人見知りでな、ただの人
篠宮可憐
みんなとお話ししたかった。けど、それを望まれていないのもわかっていた
篠宮可憐
なればこそと、高嶺の花を演じ続けた
篠宮可憐
努力は最大限に、しかしこっそりとバレないように
篠宮可憐
どんな時も疲れた顔は見せない。ポーカーフェイスを意識して
篠宮可憐
それが自分を縛り続けるのを知ってなお、高嶺の花を演じ続けた
七尾百合子
あの日、私が見た高嶺の花は、汗まみれで、髪も乱れ、苦悶の表情をしていて…
七尾百合子
今まで見たどの表情より、人間味に満ちていた
篠宮可憐
高嶺の花を、地上に降ろしてくれたのは一陣の風
篠宮可憐
たまたま見られた秘密特訓、疲れを隠さず、ミスを頻発する秘密特訓
篠宮可憐
罵倒を覚悟した、失望の声を覚悟した。けど飛んできた言葉は
七尾百合子
真っ先にかけた言葉は謝罪だった。なぜかは分からない、けど謝らなければと思った
篠宮可憐
……ごめんなさい、そう、返した
七尾百合子
返ってきたのは謝罪。しばらく謝りあったっけ
篠宮可憐
連れ去る風は優しい子。私の無理を察してくれたみたい
七尾百合子
あとで思い返せば無理をさせていたのかもしれない
篠宮可憐
けどそれもその日まで
七尾百合子
高嶺の花は地に降りて
篠宮可憐
お花畑の仲間入り
(台詞数: 33)