七尾百合子
『にゃー』
七尾百合子
普段通っている道から少し離れたところでその声は聞こえた。
七尾百合子
野良猫かな?と思い声のする方へと足を運んだ。
七尾百合子
『にゃー』
七尾百合子
可愛い。でもどうやら野良猫ではなかった。
七尾百合子
なぜなら首輪をしていたからだ。
七尾百合子
散歩の途中だったのだろうか?そう思っていると猫がこちらに寄ってきた。
七尾百合子
『にゃ~ご』
七尾百合子
するとその猫は私の前でごろんと横たわり、お腹を出してきた。
七尾百合子
どうやら撫でてほしいみたいだ。
七尾百合子
人懐っこい猫だなぁと思いながら私はその猫を撫でてあげた。
七尾百合子
『にゃん♪』
七尾百合子
猫は嬉しそうに声を出した。
七尾百合子
なので私はもっと撫でてあげた。
七尾百合子
『ふにゃぁ』
七尾百合子
よっぽど気持ちよかったのだろうか?甘えた声を出してきた。
七尾百合子
もっともっと撫でてあげようと思い手を出そうとしたが、猫はやっぱり気まぐれ。
七尾百合子
一度伸びをしてから私の元を離れていく。
七尾百合子
私は残念だなぁと思いながらその猫をじっと見つめた。
七尾百合子
すると猫の方もこちらをじっと見つめてくる。
七尾百合子
なんだか私の想いが猫に伝わっているみたいだ。
七尾百合子
しばらく猫とのにらめっこを続けていると再び私の元へ歩み寄ってきた。
七尾百合子
やっぱり私に気が合うのかなと思っていたら、その猫はこう言った。
七尾百合子
『やっぱり…笑っている君が好きだよ』
七尾百合子
私は驚いた。
七尾百合子
猫がしゃべった。
七尾百合子
……いや、そんなことはなかった。
七尾百合子
いつの間にか猫の後ろには一人の女の子が立っていた。
七尾百合子
どうやら猫の声の正体は彼女のようだ。
七尾百合子
彼女は申し訳なさそうに私にこう言った。
七尾百合子
『ごめんなさい。』
七尾百合子
そう謝ると私もすぐにこう言った。
七尾百合子
『私の方こそごめんなさい。』
七尾百合子
そう言うと、私達二人は笑った。
七尾百合子
ほんの些細なことでケンカをしてしまった私達だったけど、謝りたいという気持ちは同じだった。
七尾百合子
ただ、お互いに変な意地を張っていてなかなか謝ることが出来なかったのだ。
七尾百合子
『君のおかげで仲直りすることが出来たよ。』
七尾百合子
私が猫に向かってそう言うと
七尾百合子
『にゃ~♪』
七尾百合子
そう嬉しそうに鳴くと、その猫はどこかへ行ってしまった。
(台詞数: 40)