七尾百合子
夕焼けの海って、まるでシャンパンみたいですよね。
七尾百合子
シャンパン、好きですか? 私は好きです。楽しい行事には付き物ですから。
七尾百合子
出来るのならシャンパンの海に溺れたい。
七尾百合子
金色に浮かびながら沈んでいく夕陽を見ていたい。
七尾百合子
皆と過ごした記憶だけを反芻させながら孤独に息絶えたい。
七尾百合子
そうすれば、悔いはありません。
七尾百合子
……ライブの後には必ず夢を見るんです。楽しい夢。
七尾百合子
それも、最後には「楽しかった」って記憶が残るだけなんです。
七尾百合子
今日もまた陽が沈みます。
七尾百合子
夜になるに連れて、少しずつ頭の中に鎮静剤を投与されます。
七尾百合子
そうしたら、この想いや高揚感は形骸化して中身が無くなってしまいます。
七尾百合子
楽しかった。"ただそれだけ"になってしまうんです。
七尾百合子
怖いんですよ。いつの間にか無くなってしまうのが。
七尾百合子
忘れたくありません。
七尾百合子
何年経っても、皆と過ごした記憶を保っていたい。
七尾百合子
色褪せないまま。等身大のまま。
七尾百合子
私は……。
七尾百合子
……。
七尾百合子
…………。
七尾百合子
解ってます。
七尾百合子
シャンパンの海も、都合良く記憶を保持する装置も、どこにもありません。
七尾百合子
だからといって、飛び込む勇気も、声を掛ける勇気すらありません。
七尾百合子
あはは……我儘なだけですよね。
七尾百合子
お話、聞いてくれてありがとうございま……わぷっ。
豊川風花
我儘でいいのよ。百合子ちゃんくらいの歳の子なら尚更。
豊川風花
私もね、学生時代にそういう時期があったわ。
豊川風花
そんな時はこう考えたものよ。
豊川風花
今が惜しいのなら、それは幸せな証拠。
豊川風花
折角だから限界まで楽しんだ方が得よねって。
七尾百合子
むぐぐ、むぐー。
豊川風花
あ、あら? ごめんなさい!
七尾百合子
ぷはっ。お、お花畑を越えた先に川が見えて……。
七尾百合子
あ、でも風花さんの胸の中はインパクトがありました。
豊川風花
インパクト?
七尾百合子
あれは忘れたくても中々……。
豊川風花
忘れて……とは言えないわね。流れ的に。
豊川風花
まあ、気を取り直して……。
豊川風花
プロデューサーさん。この後、皆で打ち上げパーティでもいかがですか?
豊川風花
お酒、ジュースにおつまみ。あとは……
豊川風花
そうだ。シャンパンとシャンメリーの手配もお願いできますか?
七尾百合子
風花さん……。
豊川風花
百合子ちゃんの幸せ、私にも分けてくれる?
七尾百合子
も、もちろんです!
豊川風花
ありがとう。
豊川風花
皆で幸せ、作れるといいわね。
(台詞数: 45)