高山紗代子
お、来たね。おはよう。
七尾百合子
おはようございます。まさか朝からお話を聞けるとは思いませんでした。
高山紗代子
こういう事は早めにすませたい性分なんだよ。高坂君もおはよう。
高坂海美
おはようございます。あの、私も聞いていい話なんですか?来といてなんですけど。
高山紗代子
あのまま仲間はずれにされたんじゃ気になるだろう?聞かれてまずい話でも無いしね。
高山紗代子
さて、どこから話そうか。
七尾百合子
まず答えて下さい。昨日の私の推理は正しいんでしょうか。
七尾百合子
新聞部が七不思議を作り、それを探偵部が解き、その自作自演を互いの成績としている。
七尾百合子
……証拠、とまではいきませんが、昨日これを探偵部の部室から見つけました。
高山紗代子
お、それは……確かに探偵部の備品だね。
七尾百合子
この学校のマスターキー、なんでしょう?これがあれば七不思議なんて簡単に工作出来ますね。
高山紗代子
まあそれは確かにそうなんだけど、どうやって見つけたんだい?
高山紗代子
昨日は校内調査中にも部室には鍵をかけておいたんだが……
七尾百合子
高坂さんに取ってきてもらいました。
高坂海美
窓が開いてたから。
高山紗代子
部室は三階なんだけどね。あんまり危ない真似はしないでくれよ。
七尾百合子
公明正大を唱えながら、自分は敢えて反則を使う。それが部長のやり方ですからね。
七尾百合子
私の机に紙を入れたときも、きっとこれを使ったんでしょうね。
七尾百合子
……部長、何故こんなことを。こんな行為に何の意味があるんですか。
七尾百合子
そこまでして、この部活に拘る理由はなんなんですか?
高山紗代子
……それはね、やはり昨日言った通りなんだよ。それらしい理由を付け、説き伏せる事は可能だ。
高山紗代子
ただ、私はそんな事はしたくない。これは言葉で言ってすぐ理解できる事では無い。だからこそ……
七尾百合子
だから!そんなんじゃ納得出来ませんって!
高坂海美
あ、あの……ちょっと失礼しまーす。百合子ちゃん、ちょっと良い?
七尾百合子
なんです?
高坂海美
その、先輩の目的とか探偵部とかは分かんないけど、新聞部を続ける意味はあると思うよ。
七尾百合子
……そうなんですか?
高坂海美
松田さん……あ、新聞部の部長はね。本当にこの学校が大好きなんだよ。
高坂海美
私も正直校内新聞なんて七不思議の記事以外見てなかったけど、
高坂海美
昨日、バックナンバーをたくさん見て気づいたんだ。この学校の些細な事もちゃんと見てるって。
高坂海美
学校で飼ってる生き物の様子とか、花壇とかもそうだし……
高坂海美
あとは部活!あの人、試合には毎回来てくれるんだよね!それもちゃんと記事にしてくれてた!
高坂海美
どんなにひどい試合内容でも、なんか良く頑張ってたとか、次はいけるとか。
高坂海美
ルールとか絶対よく知らないのに、なんか……あったかく書いてくれてて。
高坂海美
まあまあ、私はそれもちゃんと読んで無かったし……あんまり言えないけど、でも……
高坂海美
あれが無くなっちゃ困る人は、少しかもしれないけど、いたんじゃないかな?
七尾百合子
……
高山紗代子
多数派が正しいと言う意見は真っ向から否定するが、大勢に価値のある物の方が尊い場合もある。
高山紗代子
それを上回る価値があるとすれば、それは個人が持つもので、社会で共有出来るものではない。
高山紗代子
……すまない。あれほど言っておきながら安い言葉を言ってしまったね。
高山紗代子
高坂君の言葉が的確だったもので、私にも言えるかもしれないと思ってしまった。
高坂海美
いえ、ごめんなさい。でしゃばって。でもね、百合子ちゃん、やっぱり先輩は自分の為じゃなく…
七尾百合子
分かってますよそんな事は!
高坂海美
あれ、なんか怒られた。
七尾百合子
分かってますよ。部長は反則はしても卑怯な事はしないはずなんです。
七尾百合子
今回もちゃんと理由がある事くらい分かってました。でも、納得出来ないじゃないですか。
七尾百合子
それなら最初から言ってくれれば良かったのに。松田さんとこそこそして私は仲間外れなんて……
七尾百合子
あんな変なヒントだけ残して、また勝手に私が謎を解かされて。
七尾百合子
なんで、
七尾百合子
なんで、私はいつも同じ側に立てないんですか!
(台詞数: 50)