七尾百合子
とりあえずハーモニーコスモスはここに置いていて...っと。
七尾百合子
うーん、やっぱりサイン会に持ってきたのは間違いだったかな?
七尾百合子
何かいい話でもあれば...って思ったんだけど...。
七尾百合子
...そうだ、あの話ならどうかな?
七尾百合子
これは私とあのファンの長きに渡る心の物語...
七尾百合子
題して!『風の文学少女と失われた風の』...
七尾百合子
...ごめんなさい。 早く聞かせるからしおれないで、ハーモニーコスモス...。
七尾百合子
こほん...では改めて...
七尾百合子
これは私がまだデビューしたてのころの話なんだけど...あるファンレターが届いたの。
七尾百合子
その人、私のファンで長い間、私にファンレターを届けてくれてて...すごく印象的だった。
七尾百合子
別に変な意味じゃなくて...何かシンパシーというか運命を感じたんだ。
七尾百合子
手紙もとても長く想いをつづってくれて...毎回、ライブとかある度に送ってくれるの。
七尾百合子
でも...さすがに読むのに一時間はかかるファンレターが来たときには驚いたかな...あはは。
七尾百合子
それで、少し気になったから、本当はいけないんだけど文通をしてみたんだ。
七尾百合子
その人は男の子で実は私と同じ年、しかも読書が趣味って来たの! 私、本当にうれしくて!
七尾百合子
それで『今度、ライブに来てください。』って手紙に書いてみたんだけど...
七尾百合子
結局その子らしき人はイベントにもライブにも来なかったんだ....
七尾百合子
あとで来た手紙でわかった事なんだけど、その人は失語症っていう病気だったの。
七尾百合子
自分の言いたいことが理解されない...話すことすら難しくなる病気だった...
七尾百合子
それで手紙もそれっきり...その人がどうなったかは私にはわからない...。
七尾百合子
...なんか湿っぽい話になっちゃったな...。 ごめんね、ハーモニーコスモス。
七尾百合子
...でも私はきっとその人がどこかで私のことを見てるって、信じてるんだ。
七尾百合子
だから私はファンのみんなを元気にできるような...希望になりたい。
七尾百合子
(そう、文学だって海を越えて、時代を越えて人の心を動かせるんだ。)
七尾百合子
(声のない声援を送る少年にも、言葉にできないほどの感動を届けてみせるから。)
七尾百合子
今日はお越しいただいてありがとうございます!
七尾百合子
?「...」
七尾百合子
えっと...私と同じ歳くらいみたいですね...私も頑張りますから...
七尾百合子
?「...じめま...ぃて。 」
七尾百合子
?「...じめま...ぃて。 ...なお、」
七尾百合子
?「...じめま...ぃて。 ...ぁなお...ぅりこさん。」
七尾百合子
まさか...あなたがあの手紙の!?
七尾百合子
(その時、机の上のハーモニーコスモスが少し成長した...そんな気がした。)
(台詞数: 33)