七尾百合子
遥か昔。
七尾百合子
まだ地も天も無く。全てが深い霧に覆われた場所で。
七尾百合子
針の先ほどの僅かな光から生まれた者がありました。
七尾百合子
そう
七尾百合子
そう、北上麗花です。
七尾百合子
生まれたばかりの北上麗花はしばらくその髪をブンブン回して遊びました。
七尾百合子
しかし一人きりではどうにも面白くないと思い、遊び相手を作る事にしました。
七尾百合子
北上麗花は自分の髪を一本引き抜くと、それを芯にして辺りの霧を人型にこねました。
七尾百合子
最後に息を吹きかけると、野々原茜が出来上がりました。
七尾百合子
野々原茜はもっと遊び相手を増やすために、まずは環境を整えることを提案しました。
七尾百合子
承諾した北上麗花は、自らの燃える血潮からまず太陽を作り出しました。
七尾百合子
世界が光で満たされた後、二人は大地を作る事にしました。
七尾百合子
二人は互いの垢を集めて大地を作りました。
七尾百合子
そして野々原茜が涙の雫から海を作り出し、この世界が出来上がりました。
七尾百合子
地上に降り立った二人はいよいよ遊び相手を増やす事にしました。
七尾百合子
少しの話し合いの末、まずツッコミ役を作る事に決めました。
七尾百合子
二人は意外にも自分達に足りないものを冷静に自覚していました。
七尾百合子
そうして土から作られたのが北沢志保です。
七尾百合子
出来上がった北沢志保は二人を見ると、眉根を寄せて若干嫌そうな顔をしました。
七尾百合子
しかししばらく考えた後、二人に協力して住人を増やすことにしました。
七尾百合子
おそらく二人を押しつける相手が欲しかったんでしょう。
七尾百合子
ともかく、三人は次々に個性的な住人を作りました。
七尾百合子
さらに、新たな住人達はその個性に応じた様々な物を生み出しました。
七尾百合子
木下ひなたはこの世界に緑をもたらしました。
七尾百合子
高山紗代子は大地の奥底に燃える溶岩を湧き上がらせました。
七尾百合子
そのようにして、この世は様々な物で満たされていきました。
七尾百合子
しかし個性豊かな住人達と、色鮮やかな世界を見渡した北上麗花は思いました。
七尾百合子
個性を盛りすぎた。と。
七尾百合子
この調子で住人を増やし続けたらこの世は収拾がつかなくなってしまう。
七尾百合子
しかし50人だけで生きるには世界を広く作りすぎてしまいました。
七尾百合子
そこで最後に作ったのが、とことん無個性な普通の権化である最初の人間達……
七尾百合子
今ではプロデューサーと呼ばれる者達でした。
七尾百合子
…………。
七尾百合子
これがこの世界の成り立ちです。
七尾百合子
この後、プロデューサーが増えていく様も伝わっていますがそれはまた別の話ですね。
七尾百合子
まぁそういうことなので、あなたが無個性な自分に苦しむ必要はありません。
七尾百合子
そういう風に作られたのですから。
七尾百合子
…………おわかりいただけたようですね。
七尾百合子
質問ですか。どうぞ。
七尾百合子
……………はい、私自身も最初の50人のうちの1人です。
七尾百合子
はい………私が作ったものですか?
七尾百合子
私は、人々の為に創造神話を作りました。
(台詞数: 42)