ニムロデ 『COS』
BGM
Rebellion
脚本家
親衛隊
投稿日時
2016-06-25 20:52:55

脚本家コメント
第8話。本作は『黒騎士の衛星』と同シリーズです。時間軸は黒騎士より前の話となります。
自己満足ドラマシリーズ、不定期更新です。
サブタイトルの英字は差別化を図る為であり、あまり意味はありません……が、ないわけでもありません。
前作『SPH』
http://imas.greeーapps.net/app/index.php/short_story/info/uid/1300000000000031424/seq/461

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横山奈緒
人には数多くの人格が眠っている。
横山奈緒
素直で大人しい人格の裏に攻撃的な人格が潜んでいたり、またその逆も然り。
横山奈緒
そんな「潜在意識」を誰もが持っている。
横山奈緒
潜在意識は、まるで子供のそれと同じような多面性を持つ。
横山奈緒
潜在意識は裏の感情。もう1人の自分。
横山奈緒
人は、時間が経つに連れて感情を忘れていってしまう。
横山奈緒
これは忘れるだけで消失する訳ではない。
横山奈緒
感情は「深層心理」に貯蔵される。
横山奈緒
深層心理とは簡単に言えば心の奥底。
横山奈緒
心の奥底への干渉は持ち主ですら容易ではない。何故なら忘れ去られているのだから。
横山奈緒
だが、仮にそこへ干渉する術があるとしたら?
横山奈緒
起因するであろう条件を満たし、深層心理を……意識を自在にコントロールする術を知っていたら?
横山奈緒
人は人を操れるだろう。
横山奈緒
即ち催眠術。
横山奈緒
真面目で、堅実で、些細な物事にも実直な人ほど陥り易いらしい。
横山奈緒
そう、特に科学者のような人間には。
横山奈緒
────
横山奈緒
最初は小学生でも解けるような問題だった。それがしばらく続いた。
横山奈緒
スラスラと踊る右手。徐々に難しくなっているとはいえ高が知れた。
横山奈緒
とっとと終わらせて逃げの算段でも立てようと意気揚々と解いた。
横山奈緒
そんな焦りが心に隙を生んだ。
横山奈緒
問題文に1文字、誤植を発見した。
横山奈緒
別段、支障が出る訳でもないので無視した。
横山奈緒
2〜3問飛んで、またも誤植を発見した。
横山奈緒
きっとペーパー作成者も眠かったんだろうと同情した。
横山奈緒
誤植は回答する毎に増していった。
横山奈緒
違和感を感じてはいたが、何故か意識しなかった。
横山奈緒
次第に文は崩れ、文として成立しなくなった。
横山奈緒
成立してはいなかったが不思議と読めた。
横山奈緒
読めはしたので、続けた。
横山奈緒
読めた時点で疑うべきだった。
横山奈緒
"崩された"文字の配列は意図的であると気付くべきだった。
横山奈緒
既に手遅れだった。
横山奈緒
何故なら眠っていたからだ。
横山奈緒
無意識に、問題を解きながら、目は開けたまま、問題を解く手だけを動かしていた。
横山奈緒
文は完全に形を崩し、文字である事すら放棄したらしい。
横山奈緒
航空機の図面、虫の断面図、有名な向日葵の絵、滲んだ新聞記事、砂の渦に飲まれる家の写真。
横山奈緒
これら全ての問に回答した。
横山奈緒
何を思考したのか、何を答えたのか、まったく覚えていない。
横山奈緒
確実に言えるのは、私が自分の意思で回答したという事実のみ。
横山奈緒
目醒めた時、白亜の教室には私と瑞希、そして響とかいう監督官が居て……。
七尾百合子
「……」
横山奈緒
いつの間にか百合子まで居た。何故か驚いた表情を見せていた。
横山奈緒
何を驚いているのか。
横山奈緒
疲弊した脳は、考える事を拒否する。
横山奈緒
何をするんだったか。
横山奈緒
電気信号はどうやら微弱。
横山奈緒
泥土のような微睡みの中、ぼうっと静寂に耳を澄ませてみた。
横山奈緒
隣から書く……いや、描く音が聞こえる……。
横山奈緒
「……! 瑞……!」

(台詞数: 50)