憧れの勇者様
BGM
創造は始まりの風を連れて
脚本家
親衛隊
投稿日時
2016-09-07 16:28:58

脚本家コメント
それは神々が狂わせた選択。

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七尾百合子
……者様。勇者様!
天海春香
ふぇ……?
七尾百合子
また居眠りしてたんですか?
天海春香
あ、あはは……ごめん。ここの所、忙しくてつい……。
七尾百合子
勇者様、気持ちは分からなくもないですけど。
七尾百合子
今やあなたは一国の主。折り目正しくして頂かないと困ります。
天海春香
そ、そうだよね。気を付けるよ。
七尾百合子
それにしても早いものですね。魔王ミキを倒してから、もう何年経つでしょうか。
七尾百合子
魔王去りし後は色々大変でしたね。
天海春香
本当にね。魔王が居なくなれば頽廃した世界に光が戻るって思ってたけど……。
七尾百合子
治安は目に見えて悪化。頭を失った魔物達は好き放題に暴れ回りましたからね。
天海春香
うんうん。数が多くて制圧するのに大変だったね。各地のハンターの人達にも声掛けたりして。
七尾百合子
全て勇者様の人望あってこそ、ですね。
天海春香
でも結局、私は指示を出しただけで何もしなかったなぁ。
七尾百合子
魔王討伐で疲労困憊していたんです。あの時点で療養するのは当然ですよ。
七尾百合子
その甲斐あってか、後に革新的なアイディアを思いついたじゃないですか。
天海春香
ああ、魔物を労働力として使う制度ね。
天海春香
これも大人しく従わないから苦労したよ……。
天海春香
労働と引き換えに、明日生きられる権利を保証してあげてるのにね。
七尾百合子
陳腐な頭脳では生きる事の尊さが理解出来ないんでしょう。
七尾百合子
ですが、それも居住区を制圧し、敢えて降伏か否かを選択させたのは正解でしたね。
七尾百合子
おかげで円滑に事を進められました。
天海春香
うん。魔物にだって大切な物はあるもんね。それを盾に取るのは定石だよ。
天海春香
でも血の涙を流して「その子を奪わないで!」って訴えて来られた時は血の気が引いたなぁ。
七尾百合子
まったく……世界を平和に導いた勇者様に楯突くなんて、本当に野蛮で無礼な種族です。
天海春香
気にしないよ。そういう不穏因子には過剰労働を命じるだけだから。
七尾百合子
しかし……ようやく、といった所でしょうか。
七尾百合子
この国………人の為の、栄えある未来が見えてきましたね。
天海春香
うんうん。私も疲れたから早く隠居したいなぁ。
七尾百合子
何を言うんですか。あなたにはまだまだやる事が残ってるんです。それまで──
如月千早
春香!
天海春香
……!
七尾百合子
千早さん? お久しぶりです。魔王討伐以来でしょうか。
七尾百合子
……して、その手の剣は何でしょう?
如月千早
春香。相手が魔物とはいえ、勇者らしからぬ悪鬼の所業の数々。最早看過する事は出来ないわ。
如月千早
悪いけど、ここであなたを討ち取らせて貰う。
天海春香
……。
天海春香
……うふふ。
天海春香
そう、そうだよ。この生きるか死ぬかの狭間がないと人生楽しくないよね。
天海春香
信じてた、ずっと……。誰かが、また私の首を取りに来てくれるって。
天海春香
『おめでとう! きみは ゆうしゃのけんりを てにいれた!』
天海春香
そして知るんだ。勇者なんて誰もやりたがらない理由を。
天海春香
『さあ まおうをうて! きみはゆうしゃなのだ!』
如月千早
くっ……。さっきから頭の中に……何なの……!
天海春香
さあ魔物を放て! 義憤と怨嗟に塗れた狂者達を!
如月千早
春香っ!
天海春香
『さあ まおうをころせ! きみは ゆうしゃなのだ!』
天海春香
始めましょう? 私と、あなたと、あなたに憑く何かの、盛大な鬼ごっこを。
天海春香
ふふふ、我は魔王──。
天海春香
畏れ平伏し──崇め奉りなさい!

(台詞数: 50)