七尾百合子
ここは言の葉の湧き出る場所
七尾百合子
言霊が、人々の想いが集まる泉
七尾百合子
数多の物語の源泉
七尾百合子
多くの人に語られて…
七尾百合子
後に伝説になった物語も
七尾百合子
後世に歴史として継承されていく物語も…
七尾百合子
一度、ここから流れ出ていく
七尾百合子
同じ様に人々に語られることのない物語も
七尾百合子
ここが源泉となって、生まれていく
七尾百合子
無名の物語達はどこへ流れていくのかは知らない
七尾百合子
一度、ここにある吟遊詩人が訪ねてきました
七尾百合子
誰にも辿り着けるはずのないこの場所に…
七尾百合子
その者はやってきたのです
七尾百合子
その者は言いました
七尾百合子
誰にも語れぬ物語を求めてやってきたのだと…
七尾百合子
私はその者に覚悟を問いました
七尾百合子
するとその者は何も語らず、黙って頷きました
七尾百合子
私はその者に物語を授けました
七尾百合子
誰にも語ることのできない…
七尾百合子
語られることの無かった、ありとあらゆる無名の物語を…
七尾百合子
その者は何も語らず、ここを去っていきました
七尾百合子
私も彼の口から一つくらい物語を聞きたかったのですが…
七尾百合子
その者がどうなったのかはわかりません…
七尾百合子
でも何かあったらこの泉から彼の物語も湧き出てくると思っています
七尾百合子
数多の物語を抱えた者の冒険譚
七尾百合子
それがどんなものになるのか…
七尾百合子
とても気になります
七尾百合子
いまはただ…その者の旅の無事をこの場から祈ることしかできませんが…
七尾百合子
祈りを捧げましょう
七尾百合子
今宵も姿を現した
七尾百合子
夜空に浮かぶ大きな満月に…
七尾百合子
その者も…きっと同じ月を見上げていることでしょう
七尾百合子
地上を覆う暗闇を照らす空に満ちた月を眺めながら…
七尾百合子
その者は今夜も物語を語るであろう
七尾百合子
その口から幾多の言の葉を紡いで奏でては人々の心を震わすであろう
七尾百合子
そして無名の物語達は昇華する
七尾百合子
その者の手によって…
七尾百合子
口によって…
七尾百合子
たくさんの言の葉と共に…その者の瞳からは一粒の雫が滴るであろう
七尾百合子
皮肉なものである
七尾百合子
私にはまだわからない
七尾百合子
その者がその行為によって報われるのかについてはわからない
七尾百合子
その時がやってくるまでは…
(台詞数: 43)