中学三年生でも恋がしたい!
BGM
空想文学少女
脚本家
sikimi
投稿日時
2015-09-04 14:45:49

脚本家コメント
闇に飲まれよ!(違)
とある曲を聴いて、フレーズをいくつか拝借して。
当初は星梨花にしようかと何故か考えてましたが、それ以上の適任がいたので。なお、原作は知らない模様。ヨンデミヨウカナー。

コメントを残す
七尾百合子
夢を見た。
七尾百合子
まるで黒いインクを零したように真っ暗な空間に、私はひとりぼっちで立っていた。
七尾百合子
光一つ無い、寒々しい空間に一人でいる心細さに、夢の中の私は泣きそうになる。
七尾百合子
もしかしたら誰かいるのかもしれない。そんな希望にすがるように、ひたすら人を呼び続けた。
七尾百合子
どれくらい人を呼び続けただろう。この世界に人はいないんだと諦めそうになる。
七尾百合子
その時、声が聞こえた。
七尾百合子
振り向くと、そこには私が最も頼りにしている男の人がいた。
七尾百合子
自分一人しかいないと思っていた世界で、あの人と出逢えたことに、私は嬉しさを隠せなかった。
七尾百合子
衝動的に、その人に抱きついた。彼は私の頭を優しく撫でてくれる。
七尾百合子
その手の温もりが暖かくて嬉しくて、私の瞳から涙が零れた。
七尾百合子
涙が闇に溶ける。その地点から極光が溢れ出す。その虹色の光は世界を照らして──。
七尾百合子
──私の視界に飛び込んできたのは、蛍光灯の明かりだった。
七尾百合子
何があったのか理解できず、目を二三度瞬かせる。
七尾百合子
首を動かすと、ページが開いたままの小説があった。どうやら読書中に寝落ちしたらしい。
七尾百合子
主人公が囚われのヒロインを助け出すシーンまでは読んだはず。だからあんな夢を見たみたい。
七尾百合子
…真っ暗な空間に囚われた私を、プロデューサーさんが助け出す夢を。
七尾百合子
最近、私の夢によくプロデューサーさんが出てくる。
七尾百合子
例えば、プロデューサーさんがドラゴンを倒して私を助けてくれたり。
七尾百合子
例えば、私とプロデューサーさんが幼馴染みで同じ学校に通ってたり。
七尾百合子
プロデューサーさんと一緒にいる夢を、最近本当によく見る。二回言うくらい沢山見ている。
七尾百合子
でも、プロデューサーさんと夢の中で逢うだけじゃ、ぜんぜん物足りない。
七尾百合子
目が醒めたままでもまだ逢いたい。そう思わずにはいられなくなってしまう。
七尾百合子
私の夢の中も、妄想も、現実も、プロデューサーさんが軸に回ってるみたい。
七尾百合子
…アイドルとしてこんな感情を抱いちゃダメだって分かってるつもりだったのに。
七尾百合子
気がついたらプロデューサーさんのことを考えて。プロデューサーさんを目で追ってしまってて。
七尾百合子
ずっと一緒にいたいって思ってしまう。恋は、文章で知るよりもずっと欲張りだ。
七尾百合子
──。
七尾百合子
枕元の目覚まし時計を見ると、いつも起きる時間よりも少し早かった。
七尾百合子
今日は、ちょっとだけ早く家を出よう。きっと、プロデューサーさんは私より先に来ているはず。
七尾百合子
飛び跳ねそうな心のゆくままに。私に恋と奇跡の魔法をかけたあの人に、一秒でも早く逢うために。
七尾百合子
焦がれる気持ちに応えるように、私は身支度を始めることにした。

(台詞数: 31)