清き流れに身を任せ…。
BGM
Eternal Harmony
脚本家
sikimi
投稿日時
2015-07-22 20:05:41

脚本家コメント
たまには(比較的)まともな千早さんを書きたくて。ついでに、立ち絵の無い人間を動かす練習もかねて。
…たまには竿を幼女以外に向ける千早さんがいても良いですよね?

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如月千早
川のせせらぎ。木の葉が揺れる音。小鳥たちのさえずり。清流のきらめき。
エミリー
「すぅ…すぅ…」
如月千早
隣人の気持ちよさそうな寝息。
如月千早
先日、エミリーと渓流釣りの撮影をしてから、私達はたまに川へ足を運ぶようになっていた。
如月千早
普段都会にいる私達にとって、自然の中にいることが思った以上にリフレッシュになるらしい。
エミリー
「むにゃ…しかけにんしゃま…」
如月千早
私と一緒に巨岩に腰掛けたエミリーが、なによりの証拠だろう。
如月千早
私の垂らした竿はピクリとも動かないけど、それで良い。
如月千早
…釣ったところで調理する腕は私には無いのだから。佐竹さんたちに頼めば良いのだけど…。
如月千早
それに、無闇に魚を傷つけたくなかったから少し変わった針を使っていた。
如月千早
「釣果はどうですか?」
如月千早
不意に、凜とした声に呼びかけられる。振り向くと、そこには釣り竿を持った少女がいた。
如月千早
動きやすそうでいて、女の子らしい服を着た子。マジメそうな雰囲気は少し琴葉さんに似てる。
如月千早
自然の中では大らかになるのか。知人に似た雰囲気も合ってか全く警戒すること無く返答する。
如月千早
「私は釣りをしているわけでは無いんです。ほら」
如月千早
竿を上げると、水面から真っ直ぐな針が現れる。予想外だったのか、女の人の目が丸くなった。
如月千早
しばらく目をぱちくりとした後、くすりと笑う。よほど面白かったみたい。
エミリー
「…ぅむ……はっ!!」
如月千早
その子の気配に気付いたのか、エミリーが目を覚ました。
エミリー
「うう…居眠りをしてしまうなんて、大和撫子失格です…」
エミリー
「うう…居眠りをしてしまうなんて、大和撫子失格です…ど、どなたですか!?」
如月千早
目覚めたエミリーが、女の子に気付いて驚く。女の子は起こしてごめんなさい、と謝った。
如月千早
「私も今知り合ったの。どうやらあなたも釣りをしに来たみたいですね」
如月千早
私のは釣りですら無いのだけど。女の子は持っていた釣り竿を見せると、はい。と頷いた。
如月千早
女の子は私達の隣でテキパキと釣りの準備を進め始める。よく魚釣りをするのか動きが淀みない。
エミリー
「わぁ…とても手際が良いですね…」
如月千早
その所作にエミリーも見とれていた。
如月千早
「あ…もしかして貴女の釣りの邪魔になりますか?でしたら私たちは移動しますけど」
如月千早
尋ねると、「話していると居心地が良かったのでつい…」と少し照れた様子。
如月千早
エミリーと顔を見合わせると、頷いた。私は、隣で釣る姿を見せて貰うように言うと。
如月千早
「わ、私の釣りを見てても面白くは無いですよ?」
如月千早
「面白い面白くない、じゃなくて貴女が釣りをしているところが見たいの。きっと絵になるから」
如月千早
持ってきていたカメラを構える。女の子は顔を朱に染めてそっぽを向くと、準備の続きを始めた。
エミリー
「千早さん、千早さん」
如月千早
「どうしたの、エミリー?」
エミリー
「今日はいつも以上に素敵な日になりそうですね♪」
如月千早
笑顔で言うエミリーに、そうねと返す。釣り竿の準備が終わった女の子も楽しそうに微笑んでいた。
如月千早
上流から吹く風が私達の髪を揺らす。少し強いくらいの日差しが気持ちいい。
如月千早
普段は起こらないような出会いもあって、エミリーの言ったとおり、素敵な日になる気がした。
如月千早
……その後。
如月千早
女の子が取り出した、釣り餌のミミズにエミリーが驚いたり。
如月千早
なぜか真っ直ぐな針で魚が釣れてあわあわした結果、危うく川に落ちかけたり。
如月千早
予想以上の釣果で魚を貰ったはいいけど、調理に春香を巻き込んでてんやわんやになったり。
如月千早
素敵だけどとても慌ただしい一日だったのは別の話。

(台詞数: 44)